ErogameScape -エロゲー批評空間-

no-attさんのCHAOS;CHILD らぶChu☆chu!!の長文感想

ユーザー
no-att
ゲーム
CHAOS;CHILD らぶChu☆chu!!
ブランド
MAGES.(5pb.)
得点
70
参照数
128

一言コメント

有村雛絵ちゃんがかわいいだけでも価値がある作品

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

作品への好感度   C(S・A〜E)※全体的に出来が良いわけではないのと、うき√がないため
他人へのおすすめ度 D(S・A〜E)※FDのため


前置き
シュタゲ(比翼恋理)・カオヘ(LCC)・カオチャ本編のネタバレも含みます。また、何かとそれらと比較していますのであしからず。


各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
プレイ順:共通→伊藤→香月→結衣&結人→来栖→雛絵→尾上
評価: 雛絵√>>香月√>>>来栖√=結衣&結人√
伊藤√(bad)、共通、尾上√、true end(インターミッション含む)は上4つとは同列に並べるものではなく、評価が難しいため順位から外しました。


雛絵√
彼女の本編√がオマージュされたスチルがあるので最高です。
…というのは置いといて、本編ではメリーバッドエンド的な終わり方をしてしまったので、ようやく彼女が報われた気持ちです。


香月√
R-17.9(小数点以下切り捨て)のギリギリを攻めた展開。同じCERO:Dのエロゲ全年齢移植より際どいシーンや台詞てんこ盛りでした。
不満を言うと、彼女だけトリガー数・エンディング数ともに他より少ないことには何の意味も感じ取れませんでした。


来栖√
川原くんが出てくるシーンが多すぎてキツかったです。
また、赤ちゃんやインフルエンザで休みを誤魔化す云々等割とガバガバなストーリーで、ストーリー自体は好きじゃありませんでした。


結衣&結人√
基本的には結衣√と言っても過言ではないでしょう。というか結衣の年齢のせいもあってか恋愛に寄らない展開のため、基本的に共通と同じノリのまま話が展開されていくのがよかったです。
ただ、あまりにも拓留にネットリテラシーがないのが引っかかりました。ここまで情弱でしたっけ、彼。

…で、なぜうき√がないんですか?


残りの伊藤√(bad)、共通、尾上√、true end

伊藤√(bad)
伊藤真二とは、一体なんだったのでしょうか。というかエンディングの内容的にそれぞれのヒロインが見ていた夢が自分のルートだと考えられますが(うきは結衣結人?)、伊藤はbadの夢を見ていたんでしょうか。可哀想すぎます。


共通
雰囲気が本編冒頭を思い起こさせるものでした。もう少し長くても良かった気がします。


尾上√、true end
カオヘの梨深にも、シュタゲの紅莉栖にもあった本編個別√がなかった尾上。その尾上にも、ようやく√が…
…と思いましたが、まあほとんどらぶちゅっちゅさせてくれませんでした。存在が存在だし…という感じです。監禁、拷問、精神崩壊、尾上の存在の真相究明等々、今までの個別とは明らかに違う何かだということは分岐してすぐに感じ取れました。
そしてこの√のおかげで尾上がどう生まれようとも、拓留と一緒にいて幸せになれる存在ではないということを改めて認識させられた気持ちです。始まりを正しても、ダメなものはダメでした。

私たちの知る「尾上世莉架」という少女は、本編ですでに死んでいます。賛否両論になるのは当たり前だと思いますが、LCCはその「彼女」の救済という意味合いが強いです。
拓留のイマジナリーフレンドであった「尾上世莉架」は、今回の件を経て再びイマジナリーフレンドに戻りました。そしてその「イマジナリーフレンド」を通して、かつて「尾上世莉架」だった少女は拓留の夢を見ます。拓留の(多分)知らないところで今の尾上に影響を与えてしまっているところが心配な案件ですが、久野里側がうまくやってくれることでしょう。

インターミッションでは久野里が主人公という形で話が進められていきます(最後の方は久野里の諸々を隠すために和久井視点になっていますが)。
久野里は拓留のヒロインになるとはあまり思っていなかったので、この顛末で良かったような気がします。ヒロインではなくても彼への思い入れは人一倍強く、どちらかといえば運命共同体ですね。
和久井に対して物干し竿でどう対抗する気だったのかと思いましたが、ちゃんとした対抗策を練っていたのが彼女らしかったです。

彼女は今回の問題を主体的に解決する側の人間でしたので、他のヒロインや悟ってしまった拓留よりも重たいものをまた背負ってしまいました。彼女の思いを今後他の作品で垣間見れればいいなと思いました。


その他
・YES/NO分岐
分かりやすくて良かったです。さすがにカオヘLCCよりはわかりにくいですが、分岐までのスキップ時間は短いので良しです。
・絵
もはや局部をうつさなきゃなんでもいいや、くらいはっちゃけてました。良し。


総評
カオスヘッドLCCと比翼恋理は、言うなればそれぞれ「本編の正統続編」、「本編とは全くの別世界の恋愛系FD」という感じでした。

それを踏まえるとカオスチャイルドLCCは、まさに「恋愛版カオスチャイルド(本編の続編)」でした。本編の凄惨な事件や暗いイベントを、明るく楽しく置き換えたら…というのを随所にわたって実践できていた作品でした。
展開や一部√に不満は残るもののこれは彼ら彼女らの見ていた夢なので、深く突っ込む気はありません。

ひとまずはカオスチャイルドはここで終わりですが、魅力的なキャラクターたちのことは決して忘れないでしょう。


追記
小説も読みました。本編とLCC補完としてかなり良くできていました。