駄作でも期待外れな作品でもないけど、なかなか評価の難しい作品。主人公とメインヒロインが受け付けなかったら、多分あなたには合いません。
作品への好感度 D(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 E(S・A〜E)※シュタゲのプレイはほぼ必須。
前置き
シュタゲ・カオヘ・カオチャのネタバレも含みます。また、何かとシュタゲ・カオヘ・カオチャと比較していますのであしからず。
他の科学アドベンチャーとは違い、完全な一本道なためルートごとの感想は書きません。
良いと思った点と悪いと思った点を述べてから総評に移りたいと思います。
■良いと思った点
・オープニング
歌唱担当がいとうかなこ女史ではなくなり、良い意味で他の科学アドベンチャーとは違う異質な雰囲気が出ていて良かったです。
・科学要素がきちんと生きてきた点
シュタゲはともかく妄想科学系列は作中科学に基づいた話ではあれど、科学より狂気がメインテーマに近かったのが少なからず残念なところでした。今回はロボット、ゲーム、ロケット、AI、AR等々科学的な話を下敷きにしていたのはよかったです。
・男親友キャラの不在
カオヘ、シュタゲ(無印)と親友キャラを話の最後までうまくメイン格に押し上げることができていなかったので、むしろいなくて正解でした。昴は初の後輩系男子キャラですが(るかは違います)、扱いはかなり丁寧でした。
・シュタインズゲート、カオスヘッドとの関連性
出張りすぎるわけでもなく、あくまでお遊び程度に紅莉栖・ダル・拓巳が出演していたこと。また、メインキャラへと格上げされた綯にとても魅力があったこと。この2点は、作品ファンとしてはかなり滾りました。
OPではSG世界線であることを表示していたので、シュタインズゲートの続編とは言わなくても続きだということは示してありましたし、そこは良いかと。
・キャラクター
特にフラウ、伊禮さん、昴あたりはいいキャラでした。
フラウは待ち望んだダル・拓巳枠の女子。コミュ障なせいで、余計に生身の人間との距離感がバグっているのが面白かったです。また、伊禮さんのみさ希さんへ、ミッチーから伊禮さんへの友情エピソードはかなり涙腺にきました。昴もお硬さとそれ故の弱さを持つユーモラスなキャラでしたので、この3人はロボノを彩る良脇役だったと思います。
□悪いと思った点
・主人公の話への絡ませ方
主人公は基本的にロボ作りには参加しないことで、ロボ作りシーンは主人公不在で進むところが多く感じました(淳和・フラウも不参加気味ではありましたが…)。主人公は基本的に君島レポート関連の話だけを進めていくことになってしまったので、ある程度は仕方ないです。
主人公のキャラが悪いと言っているわけではないのですが、せっかくのロボ作りシーンに対して若干興味なさげに話を進められると、高まった科学要素への期待値がゴリゴリ減っていく音がしました。そこらへんは同じ無知系の聞き役キャラでもシュタゲの岡部の方がそういう話にちゃんと興味があったりして、積極的に話に絡んで行ったので良かったです。とにかく、ロボを全面に押し出す割には主人公とロボの繋がりが脇役の昴より薄いのはいただけないかと思います。多分八汐とあき穂のダブル主人公、という扱いでその部分を補っているつもりなんでしょうけども。
・メインヒロインのあき穂
どうも彼女が苦手です。もちろん、無駄に前向きなところがあったり昴を庇ったり等、良いところもあるのですが…
・ポケコントリガー
居ル夫。でのタグ探し、マップで移動して君島レポートのARアノテーション探し、ツイぽ、キルバラのコマンド入力…と他作品より自分が操作する箇所が増えています。
正直なことを言うと、このポケコントリガーはノベルゲーとしては本当に煩わしいレベルのものでした。時間を浪費した感覚です。
特にツイぽでの分岐は、下手したらずっと綯エンドばかり堂々巡りしてしまう人や、運悪くphaseの順番を飛ばしてしまう人もいるだろうということで、プレイヤーに順番に話を読ませる気がないことにはがっかりしました。
・絵作り
オープニングはアニメ。立ち絵は3DCG。スチルはイラスト(君島のスチルのアイリ以外)。要所要所に挟まってくるムービーはアニメと3DCGの混合。オープニング等でこれ見よがしに良作画アニメを使っておきながら、ゲームのプレイ中ほとんどの時間見ることになる立ち絵の出来も決して良くはなく、作品中の雰囲気の統一が図れていませんでした。
多分愛理・ゲジ姉・君島AIの演出上3DCGになったのでしょうが…。
・エンディング
テロ実行犯のみさ希や天涯孤独の愛理はどうしたんでしょう…ロボ部は?島は?東京は?エグスケ社は?HUGは?ガンヴァレルは?そしてあき穂と八汐の進路について作中ではあれだけ述べられているにも関わらず、結局どうしたのです?
今までの作品全てで300人委員会関連はぶん投げられていましたが、ここまで投げっぱなしにされるのは初めてです。
番外編やDaSHで回収すれば良いという話でもないレベルなので、ここは減点ポイントです。
総評
個人的にはシュタゲは終盤に近づくにつれて興奮することができました。科学アドベンチャーの他の作品もそうです。ロボノにはそれがなかった。何がこんなにモヤモヤするんでしょうか。一部の原因はちゃんとわかっているんですが、あとはわかりません。
本当に、なんとも言えないゲームです。このモヤモヤが続編のDaSHで晴れますように。