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no-attさんのグリザイアの果実 -LE FRUIT DE LA GRISAIA-の長文感想

ユーザー
no-att
ゲーム
グリザイアの果実 -LE FRUIT DE LA GRISAIA-
ブランド
FrontWing
得点
85
参照数
239

一言コメント

自分がエロゲというものを初めて知った作品だからか、すごく思い入れがあってどうあがいても偏った評価しかできないなと改めて感じた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

作品への好感度   S(S・A〜E)
他人へのおすすめ度 S(S・A〜E)

前置き
アニメ視聴済、CS版クリア済。

各ルート・エンディングの感想、総評の順になっています。
プレイ順:共通→蒔菜→天音→みちる→幸→由美子
評価:天音>共通>由美子=みちる>>蒔菜>幸


共通
途中下車式(共通→由美子√が真ん中にあり、そこから順次個別√へ外れる方式)の作品なので、比較的共通部分のシナリオは長いという印象。

基本的にはギャグでそんなに鬱な話はないため、アニメしか知らない人がいると面食らうと思います。アニメではそのうちより抜いた数話分しかしなかったので…
ギャグもテンポ感が独特で、合うかどうかは人それぞれ。個別以降〜楽園のような下ネタ連発はやや抑え気味なため、この作品内では読みやすい部類だと思いますが。


蒔菜√
ウザくてうるさいタヌキ体型の小さな女の子、という刺さる人が極端に少ないのではないかと心配になる造詣のヒロイン。

それに加えて主人公はパパの代わりになるという展開から始まるため、ヒロインに対して恋愛的・性的なものをやや感じにくい話であると思います。

事実、何度プレイしても本格的に蒔菜を護るために逃げる決断をする後半パートより、天音と雄二が蒔菜の成長を促す前半パートの方が楽しくて面白いと感じてしまいます。多分本当の意味で蒔菜を子供扱いし続けているのはプレイヤーの私、ということなのでしょうが…

また、トゥルーエンドも迷宮をやらないと主人公の腕はもげたわ学園にもろくに帰れないわであまりハッピーとは言い難い展開。ザ・消化不良といった感じでした。


天音√
作中1タッパがあるものの、2022年ともなると「そこまで高身長巨乳か?」となってしまうところもあるヒロイン。
殆どの話は主人公が直接絡まないヒロインの過去編という異色のルートで、CLOCKUPばりにグロい描写は無いにしろ遭難とカニバリズムを取り扱ったシナリオのため、きつい人にはかなりきついと思われます。

作品中個別√で1番読み返したのでシナリオの評価は今更あまりできませんが、天音のことは好きです。天音が料理しているシーンや車輪のついた乗り物の話をしているシーン全般好きです。天音が作中で作った料理の料理本を出して欲しかったです。


みちる√
意図してわざとらしくおどけている道化系おバカヒロイン。無理して道化を演じる彼女をみているとなんだか胸を締め付けられます。

自分もやや希死念慮の気があるのですが、このルートをやっているとなんだかんだ頑張って生きねば、と思ってしまうのが凄いところ。楽しさはあまりないし、元気がもらえるようなシナリオではないにしろ、1番心に響くシナリオでした。


幸√
ロボメイドで実は幼馴染。
学園を本当に爆破してしまうあたりは、諸々の設定を理解していてもなお突拍子も無いシナリオだと感じてしまいます。また、個人的には学園爆破後即野外で初Hという流れが凄い嫌いで、これは全年齢の方がマシだったかな…と思わずにはいられませんでした。
バッドエンドも他のキャラとは違い適当な感じが若干感じられます。
思い返すとこのシナリオだけは話の骨子はともかく、装飾部分はあまり好きでないのかもしれません。

しかし幸が主人公の袖を引く一枚絵の存在でこの作品に触れることを決意したため、自分とは切っても切れないルートでもあるのだなあと再実感しました。


由美子√
一応メインヒロイン。このあとネタキャラにどんどん降格していくため、唯一無二の「綺麗な由美子」です。
クーデレである由美子がどんどん変化していく様が楽しく、寮生全員が協力して由美子の困難に立ち向かう姿は、この後の迷宮・楽園を想起させます。
終わりの方がやや呆気ない部分はありますが、個人的には一抹の寂しさを覚えるため嫌いではありません。



総評
何年間も本作含めた三部作を愛しているとなると、幾度読み返そうとも好きが深まっていくだけでした。

個人的には本作はギャグ、シリアス、恋愛、エロが比較的バランスよく自然に詰め込まれており、シナリオ形式もわかりやすいヒロインの問題解決型シナリオです。また声優陣も豪華で個別√ごとにED曲があり、絵の塗りも最近の作品に引けを取らないし、BGMもエレガ。基本に忠実かつリッチな作品であると思います。

これより後に出た作品でもこれほどリッチ感を味わえる作品はそうそうないため、ぜひエロゲーマーには一度はプレイして欲しい作品です。