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nnmaaiさんのシュガーコートフリークスの長文感想

ユーザー
nnmaai
ゲーム
シュガーコートフリークス
ブランド
Littlewitch
得点
75
参照数
2007

一言コメント

Littlewitchが教える「なぜ日本人は下品なのか!?」

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

この作品を含め、「Littlewitch」が描いてきたのは「異端」

この作品では、ジルと珠子が「異端」として扱われた。
また過去の作品を振り返っても
「ピリオド/小羽」
「ロンド・リーフレット/リタ」
「Quartett!/シャルロット」
「白詰草話/3人のエクストラ」
それぞれが形は違えど、異端な存在として扱われている。
(ロマネスクはノベル形式じゃないので例外)

この会社が貫くのは「異端」という設定を「異端」として扱わないこと。
異端であることを本人も、そして周りも認識している中でそれを描く。

そして何よりすばらしいのは、それを描いていく中で、
「異端」であることが「異端」ではなくなっていくこと。
言い換えれば、それぞれが「異端」であることに気づいていくこと。

つまり、凡庸な作品では出る杭を打つ形で、「異端」を平均化するけど、
この会社は、それぞれが「異端」になることでいつのまにか、
「異端」であることが当たり前になっていく。

この作品では共通ルートにその課程が描かれている。
ジルが役割をこなすだけの道具から、
自分を獲得し、意志により行動すること。
また、珠子が自分の境遇を理解し、はじめて、
しなければならないこととしたいことが重なったこと。

言葉にすると当たり前で大したことじゃない気がするが、
みんながちがう、ということを認め、描くことはとても価値がある。

日本人は出る杭を打つが、なぜ自分も出ようとしないのか。
なぜ見上げてねたむだけなのか。
それこそが日本人の持つゆがんだ美意識、本質的な下品さなのではないのか。

この会社が描く、異端であることを誇る意識はとても上品だ。