1と同様、終わった後に何とも言えない不思議な余韻を感じられる。枕営業モノとして本当に好みな展開だった。
円交少女シリーズの2作目。
前回が陸上部で今回がアイドルと、前回に比べたらありきたりな題材になってしまったようにも思えたが、
内容は全くそんなことはなく、むしろ援交という題材でもかなり攻めた、個人的には大好きな内容になっていた。
抜きゲーのメインであるシーンは、最初は枕営業には完全嫌悪していた真鈴が、身体を重ねるうちにもうここまで来たらとどんどん幅を広げていくような感じ。
どこぞの会社のゲームじゃないですが真鈴の本音が垣間見えた状態でシーンが進むので、
本気で嫌がっているところから計算して営業しているところまですべて筒抜けで読み取ることができる。
そして個人的に一番気になっていた前作からの続投枠のマコさんの活躍。
公式サイトではマコさんが無能マネージャーみたいな書き方をされていただけに、展開がどうなるか気になっていたのだが、
やはり今回も1に引き続きマコさんがやってくれました。
彼女は期待を裏切らないというか、もう裏で何かやってる感が滲み出ているというか。
以下、この作品をプレイしていてマコさんと真鈴について感じたことを中心に書いていきます。
真鈴について
真鈴はとにかく上に行って他人に認められたいという意志が強かった。
それに対して年齢が重なっていき、ジュニアアイドルとしては売れなくなっていく。
そこでマコさんに目を付けられ枕営業の世界へと手を染めていくのだが、そもそも自分がこんなことをするとは最初は思っていなかった。
真鈴は自信家なので、周囲を見下しながら練習を重ね、どうして自分が売れないのかと疑問を重ねるタイプだった。
素質はあるがなにかパンチが足りない。カリスマ性が足りないのか、言われている年齢的なものなのか、それともコネなのか。
だからこそマコさんに目をつけられ、結果的に芸能界で上を目指すことを選んでしまったのかもしれない。
最初は嫌だった枕営業にも慣れて、だんだん計画的に抱かれるようになっていく。
その中で自分がどうしてこんなことをしているのか分からなくなる。じゃあその先に待っているものは一体なんなのだろうかと。
最後の最後まで自分の求めているものを探し続けた。だからスキャンダルが出ようともステージに立って、自分のやりたかったことを確認しようとした。
終盤のステージのシーンは省略されてしまったが、マコさんやファンの言動を見ると結果は明らかだと思う。
同じ事務所の先輩を蹴落としてまで死ぬ気で食らいついたステージ、それは本当に真鈴にしか出せない輝きを放っていたと言える。
このたった1回のステージが、あのマコさんも認めたアイドル真鈴としての絶頂である。
これと比較すると、その後の一連のシーンのことを残光(=最高のステージの後に残ったわずかながらの輝き)と表現していると考えられる。
ステージとは対称的に描かれている、エンドロールに突入する前のあの燃え尽きて死にかけているシーンは本当に印象的だった。
あのステージに立てたことは全く後悔してないけど、こうやって今クスリ漬けになっていることは後悔しているみたいで。
対称的に描かれているからこそこんなに印象に残るのかもしれない。表で輝いてる人間が必ずしも順風満帆なわけじゃないんだと。
そんな状況で最後に救ってくれたのがあのステージで見せた自分の輝きだったというのは何とも言えない気持ちになるが、
そのくらいあの時だけは、真鈴が必死に生きてきた爪跡を上手く残せたような気がして感慨深い。
あのまま死んでしまうエンドでも説得力はあっただろうが、わざわざ後のシーンがあるのはいかにそれが素晴らしいステージであったかを補完したいがためだろう。
まああそこで良かったねで終わらないで、今まで見てきた現実を振り返っているのはモヤモヤするようなこれでいいような、ビターな雰囲気のこの作品らしい流れだが。
残光ルミネセンスの歌詞から読み取れることは、このステージが真鈴が人生を賭けて挑んだ瞬間であるということ。
仮にその後燃え尽きて死にかけてしまっても(死んでしまっても?)、このステージだけは成功させたいという想いが伝わってくる。
あのドMプロデューサーが作った曲という設定はともかく、あそこで歌った曲のタイトルがこれというのがこの作品の本質であるような気がする。
その前後の人生がどんなにクソッタレだろうが、あの時だけは間違いなく幸せな夢が見られた最高の瞬間である。
ちなみに歌詞の一部に「本当に求めてたもの どこを見渡してもなかった」という部分があり、ここはゆっきーの場合に通ずるものがある。
結局マコさんに目をつけられる人はある意味空っぽだということだろう。今作でもマコさんが言うところの「空っぽ」が表現されている部分がある。
マコさんの狙い
考えていることはおそらくゆっきーを援交に導いた時からあまり変わっていないと思う。
空っぽの人間(=自分の生き方に疑問を抱いている人間)を導いて、キラキラと充実した姿を見せてもらいたい。
そして最後には必要に追いかけるようなことはしない……と思っていたが、今回は少し事情が違っていた。
事務所の社長でもマコさんに逆らえないあたり、真鈴のマネージャーも自らが真鈴を逸材だと判断して買って出たものだと思われる。
真鈴はこの先が見えない状況で、枕営業を重ねることで大きな舞台に行けると最初から分かっていたとするともう凄いが、
そうでなくてもある程度は読めていたと考えるのが自然だし、真鈴へのそれとない枕営業への勧誘も流石だと言える。
思い返せば大事な時に何故かいない無能マネージャー的な行動も全て真鈴に枕営業へ踏み切らせるための策略なのかもしれない。
ゆっきーの時と事情が違うのは、あのマコさんが涙を見せた点。
おそらくこれは演技でもなんでもなく本物の涙なのだろう。自分の想像以上のものを見られたからなのか、それとも真鈴が本当に輝いていたからなのか。
理由はよく分からないが、マコさんは自分の見たかった最高のものが見られて、あのステージが終わった後も真鈴に入れ込んでしまうことになる。
死んでほしくないから手を打っただけだとも考えられるが、実際はマコさんすらも都合よく振り回されてしまったと信じたい。
大切なのはマコさんが枕営業の世界に導いたから真鈴が一瞬でも輝くことができたという点と、
それによってマコさんも非常に充実した時間を過ごせたというところである。
真鈴が上手く立ち回れたのも結局は枕営業に手を染めたからで、一瞬でもトップに立つために手は惜しまなかった。
しかしそれもマコさんと出会わなければ実現しなかったかもしれない未来であって、ある意味二人三脚でここまで来たと言うこともできる。
まとめ
マコさんは輝いている真鈴を見たいがために暗躍し、真鈴は上に立つために全てを捧げて立ち回る。
結果的に得られたものは数少ない時間だったけれども、その時だけは2人とも素晴らしい世界を見ることができただろうし、
生きてて良かった、これが私の追い求めていたものの答えだと思ったに違いない。
マコさんの隠れ最強キャラみたいな立ち回りも勿論好きなのだが、今回はそれ以上に真鈴の輝きに魅せられてしまったように思う。
自分はこういう刹那の輝きに向けて全力を尽くすような生き方が大好きだ。
誰のためでもなく自分のため、周囲を見殺しにしてまで全力で上へ上へと生きている。
その大切な瞬間に至るまでに頑張る過程と、全てが終わった後に燃え尽きている描写を見るだけで、
このまま平凡に生きていたら目立たずに終わっていたような人が、何が何でも輝いてやるぞと、理不尽な世界に存在の証明をぶつけているように感じられるからである。
余談 手垢塗れの天使との比較(ネタバレあり)
手垢塗れの天使という作品は、円交少女2と同様に枕営業を重ね、ヒロインが芸能界を登っていこうとする物語。
似たような作品でありながら、本質は全く異なる。
手垢塗れの天使
・必死に枕営業を重ねるが最後には完全に蹴落とされる
・最高に輝けた瞬間がなかった
・ファンと結ばれるものの幸せな人生は歩ませてもらえなかった
・主題歌「Idolatry」(=偶像崇拝)
円交少女2
・計画的な枕営業によって人を蹴落として上へ登っていく
・大きなステージで歌えたことは真鈴にとっての最高の瞬間である
・残光のような状態を引きずる 幸せになったかどうかは分からない 少なくとも死んではいない
・主題歌「残光ルミネセンス」(=残った光)
両方とも売れなくなったアイドルが枕営業を積み重ねて出番を勝ち取っていくという意味では同じだが、
必死に生きても結局最後には偶像のように崩れ去り、生きた爪跡を殆ど残すことができなかった手垢塗れの天使に対して、
こちらは少しでも最高の瞬間を体験することができていて、(直前にトラブルがあったとはいえ)報われた瞬間が存在したという違いがある。
おかげで少しでも報われたアイドルの姿を見ることができて、それだけでもとても幸せな気分になってしまった。
必死に生きているのにこうも未来が変わってしまうのは何故なのだろうという疑問こそあるものの、
枕営業の本気度、計画性、生まれ持った素材、様々な角度から考慮すると、
やはり真鈴の立ち回りが上手く(オタクを利用できたため)、マコさんのプロデュース(?)も完璧だったのだと考えられる。
……今作はマコさんの貢献度が遥かに高いような気もする。必要なタイミングで必要な人間との約束を取り付けてくるし。
本当に何者なんですかね。続きがあるなら今後もマコさんの活躍が見たいです。