プレイして一番感じたのは、とにかく登場人物のキャラクター作りが上手いということ。不快感がなく、かつ物語を適度に牽引してくれるので、気持ち良く読み進めることができる。ただ、一部のヒロインは少し空回りしていた部分もあったが。
一言感想の延長になるが、今作の一番の魅力は、「主人公やサブのキャラクター作り」にあると思う というか具体的には主人公と妹だが
というのも、ヒロインズはともかく、主にサブキャラの妹が作品の中で非常に良い味を出しているという点だ
具体的にどういうキャラかという話をすると、一言で言ってしまえばただの変態である
ただ、変態と言ってもただの変態ではなくて、かなりやばい方向まで足を踏み入れている感じの変態で、言動も所々頭の構造を疑うレベル
だからこそなのかもしれないが、この妹には、一種の潔さを感じてしまう
自分を隠さないで、自分を積極的にアピールしていくというスタイル
えっちげーむにおける男性の変態キャラで同じようなキャラも多いが、今作の妹も似たようなものだと思う
しかし、ただの変態に留まらないのがまた王道と言えるだろうか、いざという時にはキッチリ活躍できるキャラクターでもある
主人公とヒロインの恋仲をさりげなく応援してくれたり、さりげなくアドバイスをくれたり、そういう気遣いが出来るキャラクターでもあるということだ
個別に入っても出番は中々衰えませんし、ノリを継続してくれるのも魅力
個人的には、このクソデキるド変態妹が見られただけでも、今作をプレイした収穫はあったと思っている
文章だけでは全ては伝わらないが、とにかくかなり好きになれたキャラクターだった
主人公については、こちらもまたえっちげーむらしく、潔さに溢れた変態主人公になっている
自分の中でポイントがとにかく大きいのは、ウジウジしていなくて判断が早い点
展開を無駄に引きずらないので物語が冗長にならないし、テンポ良いシナリオが構成されたのは、この主人公だったからと言っても過言ではないだろう
このあたりの話は完全に私感なのだが、おかげで飽きずに読むことが出来たのは間違いない
物語中で邪魔になるどころか、むしろ必要不可欠なまでの存在感を演出してくれて、しかも不快ではない
これが出来ているだけで実際結構素晴らしくて、サブキャラがプラスに働くという良い一例である
ただ、やはりこれはヒロインがロリで埋め尽くされているいわばロリコン御用達なので、妹は結局作品上の付属品でしかないのは惜しいところではあるのだが
ちなみに、一部のヒロインが空回りしていた件については、個別に入る頃にはあまり感じなくなった
具体的には芽瑠やなつ子のことなのだが、個別に入る頃には案外慣れてきて、なんだかんだでキャラクターとしての魅力に昇華されていたような気さえしてしまう
シナリオ
今作のシナリオで面白いなと思ったのは、「ロリゲーに出来ること、しかしロリゲーにしか出来ないこと」を体現していたということ
シナリオ上に山場が用意されていて、それを乗り越えていく基本に忠実な展開なのは今作も同じ
しかし、その悩みの内容が、基本的に小学生が抱えるようなものに限定されているということだ
エロゲヒロインは基本的に高校生以上だが(そもそも18歳以上らしい)、それとはまた別の話題が取り扱われている
普段この手の作品を嗜まない自分としてはこれがまた新鮮で、結構楽しんで読むことができたのは事実である
余談だが、今作にはエピローグがない
これがまた余韻を妨げていて、ちょっとでいいからエピローグも欲しかったなと思った
まあ作品の本質が抜きゲーなのでちょっと求め過ぎなのかもしれないが
実際にテーマが用意されているわけではないが、自分なりに感じたテーマと共に、個別の感想を書きたいと思う
尤も、この作品はそもそもそういう作品ではなさそうだが
芽瑠
テーマは「嫉妬」
嫉妬というテーマ自体は普通の恋愛にもよくあるもので、ヤキモチ展開とか、そういう方向性は良く目にするものである
しかし、主人公が他の女の子と話す回数に比例して自分を悲観すると共に、自分の価値を疑い始めるのは、ある意味珍しい展開であるとも言えるだろう
ハッキリ言って、普通のえっちげーむにこんな展開を挿入されたら面倒で仕方がない 少なくとも自分ならそう感じてしまう
良い年した女が、別の女と話してるだけで嫉妬して自分の価値を疑い始める、本当に自分が彼女として相応なのかを疑い始める
この展開をあまり問題なく入れることができるのは、やはり今作が小学生のヒロインを扱っているという部分にあると思う
小学生という年齢だからこそ、この展開を何も考えずに入れることができる そして、生かすことができたというのは少なからずあるはずだ
そもそもそういう年頃なので、距離感に悩むくらいのことは結構あるはずだし、そもそもロリって言うのは、まだまだ自我が強い属性だ
シナリオ自体はこんな感じで、尺が短めであることも相まってそこまで長く書く必要なないと思ったが、気になった点が一つ
それは、芽瑠が迷子になったという知らせが入った時、焦って車を出そうとする芽瑠ママを、主人公が諭して止めたシーンである
こういうシーンで理性が保てなくなるのは基本的に主人公である
感情移入をする身からしても、この主人公が焦ってそれを芽瑠ママが止める展開になると思っていた しかし実際は逆だったのである
これの何が凄いって、芽瑠をどれだけ深く愛しているかとかそういう問題ではない
判断を急ぐタイプであるはずの主人公が、実は物事を冷静に見て判断していたということだ
ここでまた主人公に対する好感度が上がったのは事実である 想像以上に周りが見れる、感情任せに動かない性格だ
一度冷静になれば答えなんてすぐ出てくるのに、それが出来ない主人公が多すぎるのである
いや、気持ちは痛いほど分かるのだが おそらく自分も彼女が迷子になったって知らせを聞いたら取り乱すだろうし(彼女いません)
舞依
テーマは「引っ込み思案」
引っ込み思案は俗には「コミュ障」とかそういう言葉で表現されているけれども、今作はそういう方向性ではない
何をするにしても相手のことを気にしてしまう、そして、小さなことでも不安で不安で仕方がない、非常に子供らしい悩み方である
ド偏見であるのは自覚して話すが、いい年して友達の一緒に帰る誘いを断っただけで、それを引きずって喋ることもままならないなんて状況に陥ることはほぼないだろう
いわば、相手を知らなさ過ぎる故に、相手を無意識的に恐がってしまっているのが舞依なのである
特に√分岐後のプールのシーンではそれが顕著に表れている
主人公とイチャイチャしたい、でも恋人関係を言い出すのは怖い、でも友達の誘いを断る方法がない、そもそも友達の誘いを断れない
…完全に負のスパイラルである これでは結論も出ないし、どうしようもない
自分なりに考えてみても、この状況を打破するにはどう考えても恋人関係を言い出すしかない それがダメって言うのなら、本当にどうしようもない
ただ、このシナリオは面白い終わり方をしている 芽瑠の嫉妬を最後に絡ませているのである
芽瑠が急に舞依のことを避け始めるので、舞依は不安で仕方がないし、それこそ負の思考のスパイラルに嵌ってしまうのは必然だろう
そこに、芽瑠が主人公と舞依の関係に嫉妬するという描写を入れる
お互いがお互いを不安に思う、いわばすれ違いのような状態 小学生がこのような形ですれ違うのは、非常に面白いと個人的には思う
また、芽瑠が自分の嫉妬に対して自己解決するのもこの√ならではだろう
もしかしたら、芽瑠に限って言えば、この√の方が遥かに大人になっているのかもしれない
レナ
テーマは「自分を偽る」
自分に嘘をつくというのは、この場合は、「友達欲しさにやりたくもないことをやる」という心理である
この話は少し複雑だが、とにかく友達との関係を持続させたい、失いたくない、と強く思うのは、この時期特有の心理であるとも言える
そしてレナは何よりも、「嫌われたくない」という心理が強い 自分の趣味よりも、他人との関係の持続を優先するのである
結局、この時期の女の子は真っ直ぐで、手段を選ばないのだと思う
そこで色々な手ほどきを加えて道を修正してやるのが、今作の主人公の役割なのかもしれない
この√で特に面白かったのは、なつ子のレナに対する思いやりである
英語を教えてほしいと言われたなつ子が積極的に教えているのは勿論のことだが、特に感心したのは、「才能ないんじゃない?」と一言言ったことである
ある意味、なつ子は本当の友達想いなのだろう 適当なことを考えていたらこんなことは言えないはずだ
また、この一言から物語が進展した部分もあり、非常に興味深い 小学生の無慈悲な感想とも言えるが、その可能性は置いておくとして
共通では意味不明な(ある意味空回りした)雰囲気を出していただけにこれはかなり驚いたものだった
余計な繕いをせずに自分を出していく、と決めてからのレナの行動は早かったし、案の定皆にも受け入れてもらえた
他の√にも等しく言える話だが、答えはかなり単純であり、少し考えればすぐたどり着けるものなのである
椎
テーマは「大人らしくあること」
これこそこの時期に相応しいテーマであるとも言える
大人らしく見られたい、子供だと思われたくない、そういう心理は、年をとるにつれて自然と消えていってしまう…(つらみ)
この時期の女の子がこういうことを考えているのは自然だし、物語としても全く問題ない
そして、大人らしく見られたいが為に何もかも一人で抱え込もうとし、完璧を追求してしまうのが椎ちゃんだ
この性格は実際嵌ると意外と面倒になってくる 全て自分でやろうとするために、助けの手を借りたがらないのである
ある意味、一歩引いて物事を眺めてしまうために、同じ世代の子から引かれてしまう部分もある
「落ち着いたヒロイン」ということで共通では気持ち良く眺めていられたのに、個別に入ると問題が浮かび上がってくるというのは、ある意味お約束とも言えるか
シナリオ自体は大した内容ではない
とにかく大人らしくありたくて頑張ってきたけれど、他の人の手も借りることが大事だということを学ぶ、それだけのことである
問題が問題なだけに、解決方法も単純であるし、そもそも椎ちゃんが落ち着いた性格であるだけに、飲み込みも早い
なつ子
テーマは「宝探し」
ぶっちゃけ、共通の時点ではかなりのキチガイだと思っていたなつ子だが、レナ√で優しさが見えてきたりと、意外と裏は良い子である
√のテーマとしても割と単純なもので、とにかく主人公の家の宝物に興味を持ち、それを探したがる
宝探しというのはいつの年代も楽しいのだが、楽しんで遊ぶことができるのも、この年代までなのかもしれない
裏を返せば、真っ直ぐに宝探しを楽しむことができるというのは、この年代の賜物であるとも言えるだろう
宝探しをしつつ、その過程で2人は付き合い始めるのだが、愛を確かめ合うのは少し先になる
いや、正確には、主人公の言う宝物を見つけたあたりだろうか、そのあたりまで、何を思ったのか、告白もなしにセックスライフである
このあたりは、体を重ねながら大切なものを探していこうという暗示なのだろうか いまいち謎が深まるばかりであった
出世展開については自分としてはあまり好意的に見られたものではないし、言ってしまえば超展開過ぎるのだが、2人が愛を確かめ合う時間を大切にしてる点は良かった
それこそ、宝物を見つけた後の2人の姿である というか、この展開がなければ、宝探しは終わらなかったとも言えるか
エロシーン及びその他について
エロシーンは基本的にオーソドックスなものが多め というか、オーソドックスなものが殆ど
展開自体はそれぞれ一捻りあるが、基本的には主人公主導で変わらない これも年増主人公の影響だろうか
個人的に一番ハマったのは、椎ちゃんのマンコにローターを突っ込んだまま(相手は友達だけど)接客させるシーン
及び、その後のお漏らしと、オナニー教育のシーンである
他のヒロインにはこういうシーンはなかったし、なおかつ放尿とオナニーが個人的に非常に好みであるので、ここだけは本当に良かった
ただ、絵が絵なので、基本的には使えなかった CV目的で買ったので絵はあまり気にしていなかったが、実際に見るとやはり好きではなかった
また、自分はCVが目当てだったが、その点については本当に申し分ないし、非常に満足することができた
そもそもあじ秋刀魚目当てだったしね 椎ちゃんは最高だった
総評になってない総評
ロリゲーというスタイルを崩さず、なおかつプレイヤー側に不快感を与えず、読みやすさを重視した作品という感じに映った
シナリオについては自分が少し興味を持って書いてみただけで、実際にはそこまで深いものではないと思う
かなり単純に読めるし、そもそも抜きゲーだから尺が短めだったりとか、基本的にはテンポ重視なのだろう
ただ、彼女たちの悩みなどを端的に表現し、深く嵌り過ぎない程度に書き切ったのは非常に好印象だ
自分からとりわけオススメはしないが、絵が好きだとか、CVに興味を持った人は間違いない…かもしれない
絵については、最初は慣れなくても時間が経つにつれて慣れてくるという部分は大きい そういう意味でもCV買いは普通にありだと思う
というか、あじ秋刀魚すきすきオタクなら楽しめるはず!椎ちゃんの性格が天使過ぎるんだよなあ あと雪子がすき♡
ただ、フルプラでこの尺はちょっと…って感じが否めないのが、一番のマイナスポイント