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nezumoさんの恋愛リベンジの長文感想

ユーザー
nezumo
ゲーム
恋愛リベンジ
ブランド
DE@R
得点
80
参照数
1176

一言コメント

とにかくテキストが面白い。ただし、粗探しを始めると見つかって止まなくなる。決して探さないように

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ギャグを絡めた、ノリの良い日常会話が何よりの魅力
これに合えばそれだけでもこのゲームは間違いなく楽しめる
メインヒロインだけに限らず、多くの場面でサブキャラが関わってくる点も非常に良かった
どのキャラも決して存在を殺されずに生かされている
基本的に最後までキャラクターがぶれない 1つ1つのキャラクターが本編の歯車となり、1つの世界観を作り出している
キャラの生かし方の上手さでみるなら、かなりのものなんじゃないでしょうか


恋愛リベンジというタイトルだけに、主人公がフラれるところからスタートして、女に対するトラウマを克服していくことになる
リエルという奇想天外な存在によって繰り広げられる恋愛を推進する都市と、数々の恋戦イベント
非日常から展開される物語であり、更にキャラクターの濃さが相まって、学園モノなのに異世界のような、特殊な世界観を構築している
しかし、ギャグとの混ざり合いの中で、このゲームの趣旨はどこにあるのかというのを見失いそうになってしまった
あくまでも、恋という場所に焦点を置いているのかな、それとも、ギャグがメインなのかな
揺らがない土台があるゲームはこういう部分がはっきりしていてブレないんだけど、今作の場合はどうしてもブレを感じる
主人公のトラウマ克服は徐々に進んでいるらしいのだけど、どうしてもそれを実感することはできなかった
このゲームのメインはおそらくそんなところにはないのだろう ないよね?
自分の場合はそれが影響して、恋戦イベントがギャグにしか見えない 途中から全部ネタに見えてきて辛い
まあ、そのおかげで、共通部分や恋戦イベントのほとんどはギャグゲーとしては十分に楽しむことが出来た


思わぬ収穫だったのが、絵とEDソング
体験版部分では特に意識していなかったものの、本当に絵は綺麗だった 立ち絵も見れば見るほど魅力的で、キャラクターが引き立っている
このクリエイター陣でこのブランドで次の作品を出すなら、迷わず発売日に買おうとも思わせてくれた
EDソングは、√ごとにメインヒロインが歌っているという珍しい構成
エロゲ業界だと声優に歌わせるなとかそういう意見もあるが、これはこれで面白い それも処女作でやってくれるのだから、ブランドの未来は有望や
ぶっちゃけあじ秋刀魚さんが歌ってくれたのでそれだけで満足です 満足です


以下は個別√の感想を交えたキャラクターごとの評価 個人的偏見に覆いつくされています


鈴白鈴

上から読んでも下から読んでも鈴白鈴・・・
というのは置いといて、この子もまた、主人公と同じトラウマを抱えている
そしてそのトラウマを克服し、主人公と恋愛をすることが最後の目標になるけれど、この√が一番、恋愛リベンジというタイトルに相応しい
主人公は鈴の姉のせいで女が怖くなり、鈴の場合は姉のせいで男が怖くなる
全ては姉の適当な恋愛観による軽率な行動が原因だけど、その姉とも向き合いつつ、本当の恋愛に向かっていく
後述するが、姉は姉で、また1つの新しい恋愛の道を歩き出す
また、この√は3人全員が現実に向き合わなければ、決してハッピーエンドにはならない√でもあった
そういう意味もあって、3人の人物が同時に恋愛リベンジするのです
現実に向き合い、本当の恋と向き合うことで、問題を残さない終わり方になっていて、単体としての完成度も高い


柊ほのか

とりあえず食品与えとけばなんとかなるちょろい人種
最初はどう聞いてもCVがあいなまさんにしか聞こえなかったんだけど、気のせいだったらしい
この√に関しては、ただただほのかが主人公に依存しているだけという、非常につまらないものだった
周りに気づかされるまで自分の依存癖に気が付かないというのもマイナス 気持ちは分かるけど、それを突き放せない主人公もマイナス
自分のプレイしたエロゲだと、こういう展開になった場合は肉欲に溺れてバッドエンドが定石なのだ
それを友達に救ってもらえるなんて、なんてありがたいハッピーエンドなんだ
ほのかがどーのとかそういう問題よりも、友達の大切さを切実に感じる、青春してんなーっていう的外れの感想を抱いてしまった


リエル=アンダーソン

可愛い、いや、なんというか、可愛い
社長として分別のある行動をする一方で、やはり一人の学生であり、乙女であるため、可愛い一面を見せてくれる
主人公がアンダーソンCPに泊まり込むようになってから、主人公のことを意識し始めて可愛い
それ以来、Leirとして通話するときも、リエルモードが中途半端に出てきちゃって可愛い
それに加えてなんか無駄にエロいし、足コキ完備でなんかさいこーのヒロインだった

ただし、シナリオを見ると、少し粗さを感じる部分もある
→リエルにも確かに恋に似た感情を抱いていたかもしれない
→Leirがリエルだと知る
→リエルはLeirでもあったのか 僕はLeirに恋してるし、つまり僕はリエルのことが好きなんだ
恋の展開の唐突さを感じる
いや、Leirさんが大事な友達なのは分かります 痛いほど分かります
だからと言って、2人の人物が重なった時に恋を認識するのは如何なものかと
これじゃあ、リエルという存在はなんだったん?ってなってしまうじゃないですか
個人的には締め方もあまり気に入らなかった
恋愛リベンジというタイトルを生かすなら、本来ならば、恋愛を推進する条例によって主人公がどう変われたかを、全力でアピールする必要がある
なのに、簡単におりてしまった お前の覚悟はその程度か!
買収して簡単に締めてしまうのは楽で良い しかし、恋を描く本作では、その恋の力を存分に見せつけてほしかったと思うのは望み過ぎでしょうか
世の中、金さえあればなんでも解決するというが、まさにそれを感じさせる√だった


葉桜恋歌

主人公に一目惚れして以後襲ってくる先輩
ビジュアルは可愛いのに、いかんせん中身がダメである
怖い リアルにいたら引くレベルで怖い
意味不明なキャラクターとあまりのしつこさに一時期は嫌悪感を覚えかけたが、√が終わるころにはむしろ好印象だった

ところで、処女ってどういうものでしょうか
自分の個人的な意見としては処女喪失は1回しかないもので、処女としてエッチを迎えることができるのは1回きりだと考えております
恋歌√の最後にある、今回もまた処女を奪ってください的なやつ
違うでしょ!処女は1回なんだよ!
処女を奪うことと、破瓜することは違うことなんだと、頭の中で結論ができました

ここからはこの√について、すごくどうでもいい、意味わからないことを書いていく

話自体は、圧倒的完成度だったように思う
どうして伏線をもっと張っておかなかったのか
共通部分に些細でもいい、少しでも人外を疑わせる伏線を張っておけば、ロボットだと分かった時の驚きが感じられる
一般的な伏線回収の流れではあるものの、もう少しここは強調してほしかった
そうすれば、ギャグゲーでありながら、別の面白さを兼ね備えたゲームであると、胸を張って言えるくらいにもなったんじゃないかな

話は恋歌が事故に遭うところから展開される
実はロボットであるという爆弾が落とされると共に、恋歌の意志を継いで、恋名ちゃんが誕生する
誕生するという良い方には少し語弊があるけれど、主人公視点で見るなら、この言葉が一番似合うんじゃないかと思う
恋名ちゃんは恋歌のデータを引き継いだロボット
これは、恋歌であると同時に、恋名であるということを意味する
主人公は他でもない「恋名」としばらく時を過ごし、最後には思い出を作りたいとまで言い出すことになる
これは同時に恋歌との思い出も作ったということになるわけで・・・言い出したらきりがない
ここで、恋歌の場合と恋名の場合での、同じ交通事故に出会うことによる対比が行われる
この時点で、主人公は確かに恋名という存在が大好きになっていた しかし、恋歌という存在を待ち望んでもいた
恋歌の体に意識が戻った時、主人公は何を思っただろう
「この人は恋歌であると同時に、恋名である」そういう想いを改めて抱いたに違いない
最後に恋歌は、自分がロボットであるという存在を認めつつ、自分の中に存在する恋名の意志も反映した上で、告白を決意する
そこにあるのは、紛れもない人間の恋愛であり、物理的にロボットだという事実を微塵も感じさせない

この√の完成度が高いと思ったのは、恋歌が人間であるか人間でないかというテーマを考えさせてくれる点にあった
非常に深いテーマであり、エピローグの最後の最後まで判断しかねるテーマでもあるように思う
そしてこの問いの答えは、人それぞれで変わってくる
だが、少なくとも自分は、恋歌は正真正銘の人間であると考えている
人間という言葉をどう定義するかによるが、このゲームの主題は、あくまでも恋愛である
その上で恋歌√では、どう考えても普通じゃない、機械対人間の恋愛を描いた
しかし、機械との恋愛なら、恋に悩み、時に嫉妬し、思いを告げる決断をするという過程には決して至らない
大事なのは心 心が人間ならば、機械であるという事実などどうでもいい
恋歌は物理的に人間ではない存在でありながら、一人の人間であり、乙女であるということを、全体を通して伝えてきているのだ
その心の動きは、もはや機械ではない 恋歌は紛れもない、一人の人間だ

エピローグでは、恋歌と恋名が共存する未来が描かれる
だが、この恋歌は本編での恋歌と恋名が組み合わさった存在であるから、新しい恋名はもはや別の存在
心は人間であるから、もう一人の恋名、ということに自分はしておきたいと思う


浅桐千里

なんやこいつ、ちょろいぞ
僕は女の子なんだと言われた時は驚いた
そして、デート1回でキミのことが好きなんだと言われた時も驚いた
そういうこともあって、展開が早すぎるだとか、こいつは何がしたいんだとか、口説き文句が古いだとか、色々言いたいことはある
でも本当に言いたいのはこれだけ

ど う し て 女 の 子 の 服 を 着 る と お っ ぱ い が 沸 い て く る の か

立ち絵を見てずっと思ってたんですよ
「こいつ女だとしても貧乳だろ」ってね
でも女の制服を着たり、私服を着た途端、胸が沸いてきた
エッチの時もちゃんと確認しましたが、何故かある
これはどういうことかと、自分なりに結論を出した結果が、「普段はきついブラで頑張って締め付けている」という非常に無理のある答えだけ
最近の女子は男装するときに胸を無くすという人外技が出来るんでしょうか
個人的には貧乳キャラで通してほしかったなーとも思ってたり 胸は人為的に操作してはいけない(戒め)


藍沢蘭

諸悪の根源、全ての元凶
適当な恋愛観で主人公を苦しめた
しかしその恋愛観にも裏はあるのだが、適当なことに変わりはない
主人公の言葉で一瞬にして変わってしまうあたりも適当 ここは本当にもう、ご都合主義としか言いようがない
言葉で変わりもう一度恋に向き合うのは良いが、やっぱり豹変しすぎだと思う
人間は努力すれば変われるみたいなメッセージを鈴√に期待していたのだが、この人の存在のせいで、これもぶち壊しになってしまったように思う
恋に真剣に向き合うのは一向に構わないし、この人の存在がなければ鈴√も解決しなかった
しかし、それだったら、まだやることがあったんじゃないでしょうかね


ユズハさん

喧嘩が強そうなダメイド 強そうだけどダメイド
仕事をサボるのが日常で、常に減給を食らっているちょっと可哀想な存在
ぶっちゃけエリカさんの方が印象強かったので、こっちはその引き立て役かなーとも認識してたり


エリカさん

メイドオブメイド maid of maid
どうしてこうもエロゲのメイドは人外なのかといつも思うのですが、今作もその期待は裏切りません
忍者のように動き、水平の壁を登る、こいつはたまげたなあ・・・
印象に残ってるのはやっぱり脅迫ノートと調教
あれを読み上げるだけであらゆる人がエリカ様に従う
実際会ったら便利だとは思うけれど、率先して使いたいとは決して思わない
それと、不良を犬に仕立て上げた展開はすごく笑わせてもらった


薊大河

せんせーのなだめ役でなおかつ不遇なサブキャラ
見た目がどう見てもピア〇マンです、ありがとうございました、って気持ちで始めたら、真逆の性格をしていてびっくりした
肝心な時にはやることをやってくれる
友達というものがいかに大事なものかを教えてくれる素晴らしいキャラクターであった
暴力って使い方次第でクズにも紳士にもなり得るんですね 非常に興味深いです


杏ちゃん

可愛いものが好き、そんな杏ちゃんも可愛い
イチゴオレが好き、そんな杏ちゃんも可愛い
どう見てもヒロイン格なのに√がないというバグがある
全ての√で一定の活躍をしているのにも関わらず、エロの1つもないという非常に勿体ない存在
ツクモとかいうアレにもエロシーンが存在しているというのに・・・現実は非情だ


ツクモ

キ〇ガイ キチ〇イ
いや、確かにキチガイなんだけど、どうも突き抜けられていないというか、控えめさを感じる
単にツクモのギャグが合わなかっただけかもしれないが、周りのキャラと同じくらいの笑いしか取れていないように感じた
アサプロジェクトのキチガイ枠はもうちょい凄いことしてくるなーと思うと、どうしても比較してしまい、劣化感が否めない
良いキャラしてるのに勿体ないなと思う もう一歩突き抜けた思考回路が欲しかった


たつき

兄に拒絶されると喜ぶ妹って今時どうなんすか?そんな妹いるんですか
このゲームに至ってはツクモよりも頭のおかしさを感じた いや、むしろ二人で一セットなんだと思う
しかしそれでもあきらめない妹 おにーちゃんが大好きな妹
リアルに欲しいとは思わないけどなんとなく温かい兄弟愛を感じた


木春先生

ビジュアルは今作最強だと思っている どう考えても一番可愛い
この素晴らしいロリコン御用達の容姿、CV藤森ゆき奈と条件は揃っているのに、性格がメンドクサすぎて彼氏が出来ないらしい
いやむしろこの面倒な性格だからこそ優しい言葉を投げかけて落としたい
このゲームの中の男はもっと先生の可愛さに気づくべき、ぶっちゃけちょろいし口説けば一発だということを分かっていない
自分なら真っ先に口説きに行きますよ 大好きですよ先生


あやめさん

※男です
女装が可愛い男の子 リアルでこんなに化けることはおそらくないのだろう
リエル√では、金に物を言わせて解決してしまうご都合主義担当
悪い人柄ではないし確かに何か秘めたるものがありそうなキャラクターではあるのだけれど、流石に無理やりすぎる展開を作り出したなとは思う
そして、彼女?自身も、あの場面はもう少し見守っていてほしかった
最終兵器はいつでも出せる しかし、今しか出来ない説得もあるのである


小清水兄弟

居ても居なくてもいいのに、いないとなんか寂しいなと感じる存在
追いかける姉と追われる弟のブレないキャラクター像
こんな弟には絶対になりたくないです こんな姉も持ちたくないです
でも見てるのは楽しいので是非そのままでいてください そんなキャラクターでした