ErogameScape -エロゲー批評空間-

nezumoさんのとらぶる@すぱいらる!の長文感想

ユーザー
nezumo
ゲーム
とらぶる@すぱいらる!
ブランド
Aries
得点
50
参照数
1587

一言コメント

これを本気で面白いと思って書いているならライターの頭のおかしさを疑うが、世に出てしまったものは仕方がない。コレを楽しめる方の元に届くことを願うばかりである。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

一言で言うと、本当に面白くない それどころかイライラする
だが、このゲームの存在自体を叩く気はないし、楽しめる人はいても良いと思う
以下、自分の思うこのゲームの良いところ悪いところ


長所

・CVが(まあまあ)豪華

いや、そもそも声優目的でこのゲームを買ってる人なら買った時点で目的は達成しているのであろう
自分もかえでの中の人のあじ秋刀魚さんが好きで好きで仕方がないし、そのキャラ単体で見るなら満足度は高い
体験版をやった上で、特定の声優さんに絞って満足出来そうなら、買う価値は無いとも言えない

・CGは悪くない

悪くないと言わなければならないのはとても残念な話だが、普通に標準以上の絵ではあると思う
絵が気に入って、先述のCVもそこそこ気に入ったなら、まだ買う価値はあるかもしれない
もっとも、こんなゲームに金出すくらいなら他のゲームを買った方が100倍マシであるが


短所

・常識の枯渇

このゲームの日常会話がゴミレベルに出来上がってしまったのはこのせいであろう
もっとも、日常会話というのはゲームの殆どの部分を占めるもので、これがゴミとなればテキストの大半がゴミである

まず主人公、コイツには道徳心というものがもっと必要だ
パンツを被って何も思わない、むしろそれを脱ぐのが勿体ないだとか言い出して被ったままにする
いや、お前ここ外だから 外でパンツ被って平然と逃げ回ってんじゃねえよ
このゲームが近未来だとかファンタジーだとか、どこか非現実な舞台ならばまだ分からなくもない
だがこのゲーム、紛れも無く現実を模しているのである 舞台が鷹津町という、いかにもありそうな町である点でそれは分かる
身内で下ネタ振りかざしたりとか、そんなゲームはいくらでもあるし、そういうことを悪く言うつもりはない
だけどさ、こういうのは身内の間でやってて、誰にも迷惑かけてないの
対してこのゲームは、公の場でパンツ被ってるってんだから、頭のおかしさは尋常ではない
確かにパンツ被るのは男の夢かもしれないけど、誰も犯罪紛いの夢をエロゲで見たいとは思わない
加えて、どこからともなくアパートに侵入しようとする とりあえず不法侵入を試みるという部分がポイントだ
いや、声かけろよ 前から入れてもらうってことくらい分かってるよな?流石に学んだよな?
更に、これからの行動を犯した上でヒロインズにタコ殴りにされるのに、欠片も反省せずに同じことを繰り返す
お前がドMなのは分かったが、そもそも萌えゲーにそんなもの求めてないから
ラッキースケベに関してもかなり不快で、ラッキーにそこまで求めてない、っていう部分まで踏み込んでいる
エロゲ的にはこれで良いのかもしれないが、ラッキースケベにエロの領域まではいらない
事故の果て、適度にヒロインのおっぱいを揉んでしまう、この程度にしておくべきだ
勿論、現実では有り得ないが、ラッキースケベたるもの運のおかげ、謙虚さが大事なのである

次にヒロインズ、そもそも社会というものを分かっていないご様子
こんな連中が揃ってる店が何故潰れないのか甚だ疑問である
人の食べ物を平気で奪う、営業中に風呂に入る、営業中に遊ぶ…
そう、こいつらは本能のままに動いているのである
とは言っても、これをしているのは一部のヒロインであるが、それを傍観しているだけの他ヒロインも常識が枯渇していると言って差し支えは無い
どうやら、生きるという事を根本から教えなおしたほうが良いらしい
犯罪紛いのことを平気でする主人公に対しても、とりあえず暴力、暴力
主人公を諭すことも無く(諭されたところで直るとも思えないが)、暴力を持って制裁する
まるでこいつらは、言葉を失った獣のようである

・その他日常会話のつまらなさ

ヒロインとのやり取りは先述の通りで、頭がおかしいとしか言いようがないが、こちらは幾分マシである
体験版部分の話をすれば、とあるヒロインにバイクを盗まれるものの、体を張って止めに行く、気に入らないジュースを無理やり飲まされる
本当に幾分マシに見えてしまうのが不思議だ(ヒロインズとのやり取りが酷すぎる)
暴走した自分のバイクを体を張って止めに行くというのはとても素敵であるし、死ぬ気でバイクを大切にしていたことが伺える
気に入らないジュースを飲まされても平気な顔をしているのは、思いやり精神と捉えれば良いことをしているようにも聞こえるものである
尚、つまらない模様


総評

本来、萌えゲーに求められるものは、「萌え」である
至極当たり前のことであるが、このゲームにそれが出来ているとは思えないし、そもそもどういうジャンルなのかも分からない
萌えゲーというのはヒロインとの楽しい会話や行動を通して、萌えを深めていくジャンルのゲームである
このゲームのやっていることは真逆の事で、ヒロインズにイライラさせられるという構図
これを萌えゲーと呼ぶには、いささか無理がある話だろう

このゲームの主題があるとするならば、まさに、「本能のままに動くこと」なのではなかろうか
欲望のままに赴く主人公、それをタコ殴りにするヒロインズ、こいつらはまさに、本能のままに動いているのである
そこには社会常識など存在せず、社会に生きているという自覚も無い
モラルを度外視した日常会話の数々は、道徳などいらないと言っているようにも聞こえてくる
だが、この先の未来、どんな世界が待っているかは分からない
もしかしたらこのゲームは、そんな未来の世界は道徳などいらない世界になっているかもしれないという予言の可能性もある

ただ、このゲームのテキストもライターは自信を持って書いているはずである
(そもそもライターという職業は文章を売る職業であり、自分のテキストに自信が無いものを売ることはあり得ない)
つまり、ライターはこんな世界を望んでいると考えることもできるので、楽しめない人がいないとは限らない
そういう意味で、存在自体は認められても良いのだと思う 現に、ここの点数を見れば、楽しめている人はいる
もっとも、自分に取ってはクソゲー以外の何物でもなく、こんな頭のおかしいテキストを書くライターは引退してほしいと願う他ない
常識に欠ける行動、とにかく殴られる主人公、それがひたすらに繰り返される日常会話
それを受容する忍耐力があるというならば、このゲームをプレイしてみても良いかもしれない

点数はあじ秋刀魚+αに捧ぐ50点 他の部分に点数を上げる気は無い