すばらしい音楽と美術、そして圧倒的な世界観を擁する泣きゲー
ともかく音楽と美術に恵まれたゲーム。
劇中で、ある音楽について素晴らしい出来であると評する箇所がある。
一般的な作品の場合、その評価に値する音楽が流れることはない。
当然だ。
一世一代の音楽なんて、エロゲの世界観のためだけに用意できるわけがない。
出来る連中がいるとしたら、狂っているか、エロゲに命を賭けているか、その両方か。
そして「さくら、もゆ」は、"両方"の側の人間がつくったゲームだった。
これは該当の音楽だけではない。
OPムービー、背景美術の美麗さ、BGM全般、声優の演技、重厚な世界観、各ルートのつくりこみ、最終ヒロインであるクロの可愛さ、全てが良質であり、ケチをつける箇所があるとすれば誤字脱字の多さくらいである。
…うん。
誤字脱字が多い。40箇所くらいあるんじゃないだろうか。
誤用もある。
ライターの癖もつよい。体験版プレイは必須だろう。合わない人間には絶対にあわないクドさだ。
ただ、圧倒的な完成度が、それを霞ませている。
エロシーンについて。
本作はエロゲーだが、「エロゲーは文学である」という感じの泣きゲーだ。
エロシーンはおまけであり、泣けるシナリオこそが本体だ。
ただしクロのエロシーンは犯罪的にかわいいいので、やっぱりエロゲーなのである。
クロちゃん以外のヒロインについて。
こういった、絶対的なメインヒロインが最後に鎮座しているゲームの場合、サブヒロインのルートはあっさりそれなりで、いちゃいちゃで終わる、というのが一般的だが「さくら、もゆ」はちがう。
むしろ全てのヒロインが正ヒロインであるといっても過言ではないくらい魂をゆさぶられるシナリオがつまっている。
サブキャラクターも光るものが多く、特に千和ルートに登場するナハトは、魅力ある男性敵キャラクターとして作品の素晴らしさを押し上げている。
特典ドラマCDは
・クロちゃんの添い寝応援音声
・あさひさんがナナちゃんにラーメンを作ってあげるの巻
・ヒロイン(ハル、千和、姫織)の女子会
といった内容で、どれか1つ選ぶならクロちゃんの添い寝音声がよかった。
シナリオ(20/20)
エロシーン(13/20)
CG(20/20)
声優(20/20)
BGM(10/10)
UI(8/10)
ライターの癖がつよく人を選ぶ(x0.9)
誤字脱字が多い(x0.9)
誤用もある(x0.9)
長すぎて終盤だれる(x0.9)
OPムービーの出来がすばらしい(x1.05)
挿入歌が心に残った(x1.05)
音楽が心に残った(x1.05)
声優の演技が心に残った(x1.05)
世界観がすばらしい(x1.05)
圧倒的な伏線回収(x1.05)
魅力的な敵男性キャラクター(ナハト)(x1.05)
全てのルートで泣ける(x1.05)
大長編できれいな〆(x1.05)
クロちゃんかわいい(x1.05)
合計:97.25点