女主人公が男に性転換する設定に興味をひかれたのと主人公CVが逢川奈々さんな事でプレイ。主人公と後輩(ストーカー気質)、先生(ドM属性)とのかけあいはおもしろく、主人公含めキャラもそこそこ魅力的で楽しませてもらった。Hシーンでのアニメーションも軽く綺麗だったので驚いた。概ね楽しめたが、実におしいなぁとも思う一作だった。
性転換を題材に扱った作品は『X Change』シリーズが有名。『夢恋転生』もありますね。
男から女に性転換してしまう作品は今までにもあったが、女から男に性転換してしまう作品は初めてじゃないだろうか?
少なくとも私は今作の『お姉さまの♂~』しか知らない。
だからこの作品にはとても惹かれるものがあった。
主人公『萌木深紅』は女学園の寮住まい。学園生からは“お姉さま”と尊敬されている憧れの存在。
ある日、深紅は自室で『いんく』と名乗る天使と遭遇する。
誰が願ったかは分からないが、“深紅を男にして欲しい”という願いを叶えるためにいんくは深紅の前に現れたのである。
深紅の意思を無視し、いんくは深紅を男に性転換させてしまう。
ちんこが生えてしまい愕然とする深紅。
女に戻るためには、完全に男になってしまう前に“深紅の男性化”を願った人物を探しださなければならない。
と、こんなストーリー。
Hシーンにアニメーションがあったり、ストーカーの後輩、ドMの先生などヌキゲーバカゲーに分類されるかもしれない今作。
実際笑える所も多かったし、Hシーンはアニメーションがエロかった。
アニメは動作が軽く、動きも滑らかで違和感がないのに驚いた。素直に感心しました。
軽いノリを期待してプレイしたのですが、これが良い意味で裏切られた。
男から女に性転換する主人公は元の身体に戻りたいと悩むのだが、その姿はいささか軽い。
元が男なだけに貞操観念も低く女の身体でのHを愉しむ展開も多い。
今作の主人公である萌木深紅は女である。しかも深紅は男を嫌っている。
そんな深紅が男になってしまったのだから重みが違う。
序盤こそ、実はお姉さまの姿は仮面を被っていて、プライベートではだらしなくヤオイ同人誌が趣味だという深紅の本性やストーカーの後輩、ドMの先生など明るく楽しい雰囲気だった。
しかし物語が進むにつれどんどん重い展開になっていく。
徐々に進む男性化の過程で起きる発作の発情状態。これを抑えるためには精液を排出しなければならない。
初めの方こそ男の快楽に流される深紅。
発情を迎えるたびに男性の身体に変化していくのを深紅は自覚する。
思考が男に変化し、柔らかさが失われ筋肉が付き堅さが増す肉体。
男性化が進むにつれ深紅の顔から笑顔が消える。焦りだす。
“このまま女に戻れなかったらどうしよう?”を想像して恐怖する深紅。
深紅が男嫌いな理由が自身の過去に由来するもので、それが心的外傷レベルなので本当に重い。
今までの性転換もの比べ、問題の重大さが際立っている。
かなり好みの展開だったので、バカゲーを期待していた私には嬉しい誤算だったが問題も多い。
学園内の日常描写がほとんど無いので深紅がお姉さまっぽく感じられない。
話のキーとなりそうないんくの謎が解明されない。
深紅の過去の描写がいまいち足りないような……。
など、実にもったいない。
ネタバレになるが天使いんくについて説明させていただく。
いんくは男性化に悩む深紅に、男を受け入れるようたびたび促します。
それは何故か?
実はいんくの正体は天使ではなく堕天使で、いんくが男になると神に天使に戻してもらえる。
だが、深紅が女に戻ってしまったらその存在を消されてしまう。
――実はかなり打算的ないんく。
終盤、こういった理由がいんくにあった事が明かされる。
しかし、“何故いんくは堕天したのか?”“いんくは何故今頃になって現れたのか?”などといったかなり気になる謎が解明されないままENDを迎える。
この辺りをキッチリと書いてくれれば個人的名作になったのだが……もったいない。
主人公の萌木深紅はCVの逢川奈々さんの演技力と相まって、かなり魅力的なキャラだった。
終盤、深紅が屋上で叫ぶシーンは鳥肌が立つほど印象に残った。
ただのヌキゲーで終わらせるには実にもったいない一作です。