良く出来た大作だとは思いますが、これが名作かと言われると微妙です。
作品の完成度だけを見れば、100点を付けても良いくらい、よく出来ていると思います。高校編、大学編、社会人編と、よくこれだけの大作を作ったなと感服しました。心理描写とか、すごく良いと思います。でも、ここから自分の好みなどを考慮すると、点数がどんどん減点されていくという、そんな感じの作品です。
私の場合、かずさが嫌いで駄目でした。かずさは我儘な子供って感じがして受け付けなかったですね。おそらく、雪菜と対比させる為にこういうキャラにしたのだと思いますが、全く魅力を感じないです。雪菜もストーリーの為に、キャラの魅力が犠牲になっている印象です。かずさと雪菜がもっと魅力的なキャラだったら、もっと点数を高く付けていたと思います。
物語としては、ずっと悩んだり迷ったりの繰り返しなので、段々、「こいつら、何をこんなに悩んだり迷ったりしているんだろう」という気になりましたね。もちろん、人間は誰でも悩みながら生きていると思うんですが、あまりにも同じような事を何度も繰り返すものだから、うんざりしてしまいました。
泣けると聞きましたが、キャラに感情移入できず、全く泣けませんでしたね。
感情移入できなかった一番の理由は、やはり主人公とかずさと雪菜に魅力を感じなかった事が原因だと思います。ストーリーのメインである3人が好きじゃない為、ストーリーにイマイチ没入できなかった感じです。また、主人公達が普通じゃあり得ない行動をする為、共感するのが難しかったというのもあります。
かずさのトゥルールートが一番面白かったですが、シリアスなストーリーのはずなのに、なぜか馬鹿らしくて笑ってしまいました。ここまでいくと、もはやギャグです。ストーリーに無理がありすぎると思います。物語全体を通して、とても良いストーリーだとは思いませんでしたね。
小春ちゃんは可愛くて好きなんですが、あのストーリーはやめてほしかったです。読んでいて、辛いものがありました。
音楽は、すごく良いですね。『届かない恋』は、すごく好きな歌で、何度も聞いてしまいました。
シナリオライターの丸戸史明さんはすごい人だと思いますが、私はこの作品、特に好きという事もないですね。でも、作品自体はよく出来ていると思うので、85点くらいが妥当な点数かなと思います。かずさと雪菜が好きで感情移入できる人にとっては、エロゲーの最高傑作になるかもしれません。それほどのポテンシャルを秘めた作品だと思います。