神作(語彙力の消失)
泣きげーでも単純にその要素だけじゃなくて考察要素とかいろいろな要素があって面白い...
でも特にこの要素が結構印象に残るなというのがあるが、
本作においてはどの要素が面白かったというのが頭の中で整理ができないほど色々あって面白かった。
今までプレイしたところであまりなかった要素も多くここまで諸々を文字として表現するのに語彙力が不足したことはない。
どっちにしろいつも不足しているのは否定しない。
ちなみに作中で出てきた実在作品に関してはプレイ時点で一冊も実際には読んだことはなかったです。
さすがに星の王子様は名前くらい、銀河鉄道も数節知ってくらいの教養のなさ。
(余談ですが近代日本文学系で初めて読んだのは吾輩は猫であるなのですが、これが合わなさ過ぎて同時代の日本文学を食わず嫌いしている節があります)
演劇については小中学校の何かの行事で外部の劇団の人を呼び込んで~みたいのくらいしか聞いたことなく、
印象的にも何となく演劇っぽいオーバーなやつが好きになれないみたいのが当時の印象でそれが今も残っていたが、
それを覆し機会を作って行ってみたいと思わせるくらいの衝撃だった。
1章の赤い部屋に関しては衝撃的で、
これも1種のメタフィクション的な語りではあるのだがエロゲでこれまで感じたものとは全く別物に感じた。
どうしてそんなことになったのかあとでめちゃくちゃ頭捻って何とか自分の感覚を部分部分は言語化できた。
ノベルゲーでよくあるプレイヤー側への話しかけはあくまで「話しかけ」もしくは選択肢を介して「会話」のようなケースが多い印象ですが、
これは完全に語り聞かせるというものであり、これが(個人的には特徴だと思っている)舞台演劇のあの独特の間の置き方抑揚と合わさって
プレイヤーとしてではなく完全に舞台の観客として聞いてるような感覚になっているという点が大きい。
(ある種プレイヤーも観客もいいかえれば同じものなのかもしれないが)
結構ノベルゲームをやってると「聞く」ではなく「読む」をやってることも多く、
シナリオが主食、CGやBGMは副菜汁物みたいな立ち位置になることもあるが
この個所については完全にその語り聞かせる演技が圧倒的な主食で進めてる時に文章を先に読みたくないと思わせるような迫力があった。
読むと聞くのバランスが途中でいつもと違うのに気づいていつも通り文章を読み筒にしようとしてみたが、
すぐに引き戻されて聞いた後に文字を追うみたいなところに戻されて衝撃受けてた。
前述した演劇に行ってみたいと思わせるくらいに衝撃を受けたのは9割9分このシーンのせい。
体感時間的には赤い部屋のシーンが1章の中では大部分を占めていたが、
この舞台としての狂気を出しつつもその合間で主人公と妹との依存にあるまた別の狂気を少し見せつつ、
それを次の章で思いっきり出していくのも流れ完璧すぎて感動していた。
しかもそこでオニキスの存在証明を出してくるのはずる過ぎる。
まさか別に元も妹がに関しては完全にダブルパンチ喰らった気分。
ココからはさすがにある程度落ち着いて各キャラの内面を掘りつつもという感じに行くが、
情報を小出しにしてプレイヤーに考察する要素を出しつつも舞台が終われば後で実はの部分を出していき、
考えるのも楽しく改めてどうだったもでてきて二度おいしい。
特に今回はウグイスカグラのこれまでの作品の中でもキャラ数も多くいろいろなキャラの掛け算的な部分もあって最高でした。
個人的には来々座長周りの話が結構好きでした。あとめぐりとのあの熟年夫婦感をもう一回見たいです。
各キャラの個別に関しては何でもかなっちゃうこの世界に甘えながらもこの世界の正体に分岐していき思ったより重要な部分を占めていた。
(正直パラレログラムみたいにメイン部分とは離れて系のものかと思ってた)
一番刺さったのは奈々菜、時点でめぐり、琥珀、いまいち刺さらなかったのは理世
奈々菜に関してはそこまでの流れとか分岐とかもあったが、
甘い理想を受け入れるのが主人公と奈々菜であるという点がたぶん刺さった要因。
そこに本来成りえない、むしろ捨てた関係を改めて作るというその狂気的なでも表面としては甘ったるいその雰囲気が何よりもよかった。
その狂気的な背景の中であんな甘い声で語りかけられたら物語へののめり込み具合と合わせて本気で脳が溶けそうになった。
本当にここは他と別次元レベルで刺さりすぎて面白さ云々とはまた別に、
気持ち悪くなるくらい脳内の多幸感バチバチでこのまま2回目のシーンくらいまでの雰囲気がずっと続いてたらその感覚に中毒になるんじゃないかってレベル。
実はパラレログラムのほたる先輩の個別でも似たようなのがあったが幸福感的なので言えばあっちが上に当時感じたが、
狂気感と合わさって諸々的には奈々菜の方が来るものがあった
琥珀に関しても結構そういう要素が強いが物語がほぼ終盤もあってそこだけに脳みそが至らなかったので避けられた感じ。
めぐりに関してはその逃避が2人の部分ではなく無くなったお三方という部分だったのでそこまでのめり込むくらいではなかった。
理世はそういった要素はなく(個人的な解釈としてあり得る範囲の認識)次までの話の要素的にといった感じではある。
感覚ではあるが後に分岐する方のキャラが逃避しきれていないという感じがある。
奈々菜は完全に妹になっているが、めぐりはなんだかんだ現実から無理やりそらしているような部分が見当たるし、琥珀は完全にわかったうえでそらしてるので。
(理世は受け入れてという解釈でまた逃避的なのと別の立ち位置と思ってはいる)
少し飛んで終盤的なところではあるが
双葉のついに明かされる主人公の関係についてはなかなか興味深かった。
女性愛者であるところに女装しているとはいえ男性へのひとめぼれといるというのでああやって連れ出す十分な理由なんだろうと。
結局のところ男性を好きになることに対しては想像して吐きそうになっているところを見る限り男性と知ってしまえばというのはあるが、
ただ引きこもりのところを連れ出してとか諸々を考えると実際どうなのだろうか。
よく考えると女性が好きというシーンは結構あったが男性嫌いになるエピソードは出てないけど何かあったというわけじゃないのだろうか。
女性が好きである=男性が嫌いということにはならないだろうし筋肉云々的な話の時には興味がないくらいの話だった気がするが。
未来との回想での関係部分はいい意味で頭が混沌とする。
好きと嫌いがここまではっきり分かれてなおそれが兄/演劇の2つで複雑に絡まってるのがなかなか。
この作品の最初であった未来のカリギュラの演技ここまでの話を組み主人公側に語りかけてるようにも強く感じるしそう考えると全然別の印象になる。
完全に別物といえば終盤の方に出てくる赤い部屋CGの思い返しは序盤と同一とは思えないくらいに不気味さを感じられたが
序盤ではそこまで感じなかったのでなんかちょっともったいない感じがあった。
意図的なものかもしれないが琥珀に関しては最初ミステリアスというか3章以降ほど明るい感じは見えなかったので、
キャラ感と相まってみたいなところがあったが、改めて終盤に出されると暗さや狂気といったものが際立って感じられた。
そういった混沌とした話をしつつも、
最終的には逃げてきた不条理極まる世界に戻ってきてルペルカリアと名付けて未来のあるキャラ達の演劇がどのようなものか想像するような形(?)で終わってるのはすごく良き。
あと白紙赤目は過去作でも確かこういう立ち位置でいたなーは記憶にあるんですが
このあたりの話ってなんかあったか全く覚えてない。イストリアでも4年前か...。