シリーズ最後に相応しい神作品だった
まず初めに。
この批評空間の当作品中央値を発売時から追ってきたが、時間が経過するにつれて得点がじわじわ上がっていくという奇妙な推移をみた。それはこのゲームのボリュームがあまりにもおおく、途中では真の面白さを評価できないことを意味している。
はじめの触りだけやって決めつけてしまうのではなく、最後までしっかりとやってほしい。
特にランスシリーズが大好きな人が途中で放棄するにはもったいなさすぎる。
自分も最初の部分をやってみて、艦これみたいなシステム、チープな戦闘には少し物足りなさを感じた。しかし戦闘のバランスは非常に練られており、シンプルなのに奥深いギリギリの近年のRPGでは珍しい際どい戦闘が楽しめる。
流石アリスソフト。
シナリオは熱く笑えて絶望しそして感動もする、すべてが詰まっている。
一番燃えたのはメディウサ戦だ。6で登場し大好きになったゼスの重要人物が惨殺されたときは怒りを覚えた。思わずくやしさに片手を握りしめた。絶望で頭がいっぱいになった。あの時の自分はまさにランスたちと全く同じ感覚を共有していたように思う。そこからの戦闘は演出も最高で怒り狂うランスがメディウサの体力を削っていくのには昂奮した。
俺の大好きなキャラを正史上で殺しやがって、という気持ちはもちろんあるがここまで自分を熱くさせたのは脱帽である。
音楽も最高だ。
今回の音楽は戦闘曲をはじめとして神曲だらけだが特にひとつあげるとすればmajin-bossをあげさせてほしい。最初の部分から超かっこいい。かっこいいんだけど、今までのランスっぽさがしっかりあるんだよ。ランスのかっこいい曲っぽい。それでいて、今作の魔人たちはどいつも強敵ぞろいだから音楽と戦闘バランスがうまく噛み合っている。最高にかっこいい音楽と最高にギリギリの戦闘を融合して楽しくないわけがない。あの音楽を聴くとヒリヒリした戦闘と魔人たちが思い出される(特にメディウサ、ケッセルリンク、サテラ、ホーネット)。
ただはっきりいわせてもらうとH部分は今までと比べて圧倒的に満足度が低い。
ランスといえば出てくる登場人物ほとんどにHシーンが用意されていたり、征服したり倒したりした女の子にお仕置きHするのがすごく好きだった自分としては残念。ただ、用意されていない、というよりボリュームの都合上用意することができなかった制作側の事情もしっかり理解しているために、あまりその部分を責めることはできない。その点については豊富すぎる立ち絵に力をいれてくれたことに感謝して何も言わないでおきます。
食券イベント。よくあそこまで一人一人のキャラに設定を組み込めたなと感心する。
そのすべてが面白い。かわいかったりじーんと来たり…ケッセルリンクのメイドたちそれぞれにも個別のイベントが用意されているのは驚いた。これもまたほっこりきて楽しくてかわいくて驚いた。
今回のアリスは本気だ、本気でランス10を作っている。そんな彼らの熱い気持ちを感じられる素晴らしいワンポイントだと思います。
コンプするのは非常に難しくて、ほとんどの人がそのすべてを堪能できないのはとても残念。何かにまとめてくれたらなあ、鬼畜王やランス6みたいな攻略本が後で発売されてそれにまとめられていたらなあ、なんて少し期待してます。
立ち絵。可愛いものがほとんどだが可愛くないものもあり、キャラクターによって評価はまちまち。
例えばかなみとかリアとかはいままでで一番かわいいのではというほどの完成度だし魔人ジルは歴代最高レベルのクオリティだと断言できるが、それと比べて魔人ワーグが鬼畜王のころと比べて圧倒的にブスになってるし、日光もブスになっていて本当に残念。特に日光みたいな一般のメインプレイヤーとは一線を画すようなキャラクターは特に可愛く美しくあるべきと考えているので力をいれてほしかったと思います。
補足すれば今回初登場のキャラクターや割と初登場が最近のキャラクターである女神ALICEやクエルプランちゃんは文字通り一級神といった感じの絵で最高に崇拝(神的な可愛さ)できましたし、妖怪王の黒部なんかはぬりや線画が日本絵画っぽかったりして崇拝できました。このあたりのキャラクターの属性をしっかり絵に組み込んでくれたことは非常にうれしいです。
ただケイブリスとの決戦を終わらせてこのゲームが終わっていたなら、この作品の満足度は今ほど高くはなかったでしょう。この作品を神作品たらしめているのは二部によって語られるランスワールドのその後の世界が魅力的だったことにあります。
二部、自分が周りを見ている限りでは賛否両論あるようですが、個人的には最高、最終作になくてはならないものと思います。二部をクリアして、この作品を最後の最後まで見届けて改めて自分はランスワールドが大好きなんだと気付きました。ランスも好きだけどもうみんな好き、そんな人ならこの二部を受け入れてくれるような気がしています。
また二部では一部とは大きく変わって冒険がエールと長田君とゆかいな仲間たちによるギャグをふんだんに交えたリズム感のある一部とは違って気持ちのいい冒険に仕上がっているのもグッド。長田君はベストフレンド。
本当にこの作品でランスの物語が終わってしまうと思うと悲しいですが、是非ランスワールドを舞台とした物語が覗ければな、なんて往生際の悪い希望を捨てることができずにいます。
TADAさんをはじめアリスソフトのみなさん本当にお疲れさまでした。最高の作品でした。