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nasuergsさんのミート・イート・ガールの長文感想

ユーザー
nasuergs
ゲーム
ミート・イート・ガール
ブランド
アトリエかぐや
得点
53
参照数
706

一言コメント

いまいち処女性に欠けるヒロインは減点対象だが、それよりも起承転結の起の部分を省略している点がシナリオ全体に悪影響を及ぼしている。外見やキャラクター性への言及が少なく、事後の描写が不足気味なのも気になった。後輩に囲まれる状況は魅力的なものの、JDなので効果半減。BGVをオプションでオフにできないUI面の欠陥があるため大幅に減点している。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まずゲーム開始時から好感度MAXなヒロイン達に残念な気持ちになる。
その後すぐに、軽いノリで主人公の性欲を処理する初エロシーンにさらに残念な気持ちになるが、
このゲームにおける、一番の問題点は「主人公とヒロインのファーストコンタクト」が描かれていない点にある。

ゲーム開始時の流れとしては冒頭にエロシーンから入る抜きゲがやりがちな倒置法のパターンで
そのシーンが終わると7日前に時間が巻き戻り、
廃部の危機にあった漫研に勧誘し成功した女の子4人との部室での顔合わせに向かう廊下から始まるのだが、
この「主人公がヒロインを漫研に勧誘したシーン」に関しては完全に省略されてしまっている。

部室での顔合わせでヒロイン達から
こうやって勧誘してくれたよね?という会話はされるが、それも2行ほどのサラっとした言及で
どういったシチュエーションで、その時にどんな反応をして、どう返事をしてくれたのかプレイヤーには分からない。

なぜ、この勧誘シーンの省略が問題かと言えば、ヒロインの好感度MAXの理由がまさにこの勧誘にあるからである。
ヒロイン達が漫研に入ったのも積極的に性的なアプローチをしてくれるのも後半関係が結ばれて行くのも
全てはこの勧誘から始まっておりストーリーの根幹となるはずだった。
しかし、ゲーム上、このシーンは省略されておりどんな出会いをしたのかプレイヤーの記憶にはない。

ゲームの終盤で「あの情熱的な勧誘をされて好きになったんだ」とヒロインに告白されるわけだが、
プレイヤーとしては何の感動もない所か、どこか他人ごとにさえ聞こえるのである。
製作者は軽い気持ちでこの勧誘シーンを端折ったのかもしれないが、
デートや即売会や文化祭などのイベントもないこのゲームにおいて
最大の見せ場がこの勧誘シーンであったことを理解しなければならない。

また、初顔合わせのシーンで同時に問題に感じたのが
「誰が喋っているのか分からない」という点である。
それもそのはず、主人公からヒロインの外見への言及が一切なく、
彼女たちの特徴がまるで描写されないからだ。

一応、ヒロイン達から自己紹介はされるがコスプレが好き、漫画を描くのが好き、といった
あまりにざっくりした自己紹介であり、
本来あるべき
「黒髪のツインテールでどこか小悪魔的な印象を受ける」だとか
「ワンサイドアップで髪を束ねたノースリーブの女の子」といった
主人公目線でのヒロインの外見やキャラクター性への言及が明らかに不足している。

誤解しないで欲しいのは、誰が喋っているのか分からない点が問題なのではなく、
主人公が本当に女の子を視認できているのか?という疑念が生じてしまう点が問題なのだ。

また、その後ヒロインの一人がコスプレ衣装を作り、他の3人が遅れて登場するシーンでは
何の説明もなく立ち絵が急に出て来るのは違和感があった。
せめて「みんな出てきて―」だとか「部屋の陰から姿を現したのは……」くらいの描写は欲しかった。

巨乳ヒロインばかりなのは仕方ないとして、
それならもっと胸に関して言及しても良いだろう。
ゲーム中にまったく出て来ない訳ではないが、これほどのバストを持つヒロインが4人も揃っていて
序盤に主人公が地の文で一切触れないのは違和感があり、スリーサイズが存在しているのか疑ってしまう。

スリーサイズによって例えばコスプレ衣装製作時のサイズも変わって来るだろうし、
この子は胸が大きいからきつくて入らないんだよねといった会話も自然と出てくる訳である。
一部のキャラはエロシーンごとに胸のサイズが明らかに巨大になっていたりと
その辺りの大雑把さがどうしても気になってしまう。これはパッケージイラストでも同じことが言える。

外見は、グラフィックは当然としてテキストにおいてもエロシーンのリアリティに関わって来る部分なので
そこの描写が不足していると抜きゲとしての評価にダイレクトに影響してしまう。
ヒロインによるパンツを使った手コキシーンが出て来るが
主人公はパンツの色や形には言及しなかったが視認できているのだろうか?
コス用制服に付いているリボンを外すという描写が出て来ないが
主人公は制服にリボンが付いていることを視認できているのだろうか?

キャラクターとは、主人公の目で見たその姿をテキストで描写することで現実味を増すのであって
グラフィックで表現しているからといって言及しなくていい訳ではない。
テキストの文体自体は悪くはないので、長々と指摘してしまったが
そういった主人公から見た髪型や服装、下着の色や形までをリアリティをもって描写して欲しい。
勿論、ライターがそれを描写するには明確な設定資料が必要なのは言うまでもない。

恋人同士になるまでは本番行為はせず、最終ラインは守られているのは良かった。
それ故に、駆け足でもいいので最初のエロシーン(マコトのクーラーを直す件)までに
もう少し関係性の構築(恋愛)が描かれていれば高評価に繋がったと思える。


その他、エロシーンについては
基本的に3回戦が標準装備でありその点は良い。
キスシーンはもっと多くて良いが、忘れていない程度には用意されている。
表情の細かな変化が見たいのでアニメーションは評価点には繋がらないが
フィニッシュ時にアニメを静止することでなんとか表情に変化をつけている。
アニメ中にも細かく表情が変化できるようになればもっと良くなると思う。
事後の描写は不足気味で、ピロートーク絵は用意できないとしても
立ち絵での会話くらいはマストで欲しい。また、ぶっかけてもすぐに元通りになるのはリアリティに欠ける。

一部のシーンでヒロイン視点になるのはマイナスだった。
主人公が眠っているところを襲うシチュなのでこうなったのだろうが、
口で受け止めるかどうかのヒロインの選択をプレイヤーにさせるのはナンセンスだと感じた。
あくまでプレイヤーは主人公であるので、そこは主人公目線での選択肢にするべきだった。

ちなみに、主人公によるクンニや胸を舐める効果音が気持ち悪すぎるので
プレイ前にオプションでオフにすることを推奨。男が舐める音を入れる理由が分からない。

フェラシーンにBGV(バックグラウンドボイス)が付いているがオプションでオフにできないため大幅に減点。-15点
BGVはループで同じものが流れリアリティが削がれるためオン/オフ切替できるようにして欲しい。

冒頭エロに関しても初Hシーンのドキドキ感が薄れるため減点。-5点