驚異の中古400円の作品。(あれ?もしかしてメーカーつぶれた?新作は?)OPで期待した分、ある意味「去らばだ!あの頃に燃えたのpropeller!よ」って感じ。
あやかしびと、バレットバトラーズ以来、あんまりプレイしたいと思える作品が来なかったブランドですが、今作はOPのカッコよさに惚れて期待していました。
桐谷華、北見六花など好きな声優さんも出てることだし楽しめそう……と思ったが、残念!
なによこれ?って出来でガッカリ。
小栗千鶴ルートだけとっても……ええ?って二度見するレベルでシナリオが悪いです。
まずヒロインである千鶴の可愛さを活かしきれてない。
なんか千鶴はぶっ倒れてばっかりの印象。何か行動を起こすたびに敵が現れて、それはまあ王道なんでしょうけど、ただ王道に流れが沿っているだけで、面白くもないし萌えもしない。そういうわくわくするオリジナル要素が皆無でした。
なんの楽しみもなく無難に敵をばっさばっさ切ったあとは、ほとんど例外なくぶっ倒れてるよね?「敵を呼ぶだけ呼んで」、その後になんら甘々な展開はなく、ぶっ倒れるだけ?
あれ?もうちょっとトキメキイベントとか入れられなかったのかな?
後半はあまりにも千鶴の萌えイベントが少な過ぎて「ぶっちゃけ、こいつ居ても邪魔なだけじゃん」って思いましたよ?w
ここからは割とネタバレですが、千鶴のストーリーを流れで表すと、
1 プロローグの船で千鶴と知り合い、ちょっとお互いに相手を意識する。
2 島に上陸。島での暮らし方を学び、申し訳程度の学園生活を送るようになる。
3 千鶴と一緒にお弁当、帰宅などのチャンスイベントが訪れるも主人公の用事で叶わず。
4 千鶴がむくれる(ここら辺までが一番楽しかったです)。
5 なんやかんやあって鬼が現れるようになり、ついに鬼が学園に突撃。
6 鬼が現れたことで全島民がフェリーで避難する。
7 学園の鬼殲滅。
8 そこからはちょっとした日常→鬼が出現→何故か鬼討伐後に千鶴がぶっ倒れる→またちょっとした日常→鬼出現→またもや千鶴が倒れる。
この繰り返しです。
途中まではともかく、ほとんどぶっ倒れてますね。
千鶴はそんな感じでほとんど寝ているんですが、これは一体どうやって萌えるんでしょう?
もうちょっとこう、戦闘中に主人公のピンチとかで健気なところを出せなかったのかな。
いろいろとやれたでしょ。少なくともやりようはあったでしょ。
後半はほとんど寝ているだけじゃん!それのどこに面白味があるのか訊きたいわ!
もうこの流れでラストの展開が容易に想像できちゃいますよね。
しかもそれを見越してなお、想像を下回るほど安易に物語が進むので、全然楽しめませんでした。
……むしろ興ざめ?
戦闘シーンも熱く燃えるほどのモノはなく、切り裂け!鬼取丸!!
などなどのカッコよさげなセリフを吐いて刀振り回してるだけだし。
藤原舞ルートでは、さらに戦闘面での主人公の「いらない子」度合が増します。
基本的に主人公は「切り裂け」だの「貫け」だのという言葉に「鬼取丸」をくっつけて、妖刀を振り回しているだけですが、このルートはすごかった。
彼は鬼取丸の使い手に「なれた」だけであり、ほとんど戦術や剣術というものを知りません。
たぶん書き手がそういうの表現する自信がなかったんだろうなぁと疑うレベルで、「頭の悪い子」です。
使い手を選ぶだけあって、「最強」と呼べるほどの威力がある「鬼取丸」なのに、この主人公は「ちょっと成長した鬼」が現れると歯が立ちません。
「はあぁぁぁ!!」って感じに鬼取丸を振り回したのに、「キィン」だの「カイン」だのという表現で「最強レベル」であるはずの鬼取丸がはじかれちゃってます。
――んん?えっと、なんだろうなぁ。この、主人公の「使えない子」度合は……。
千鶴ルートでも戦闘面で燃える部分はありませんでしたが、千鶴が「一般人レベルで最弱」だったので、まだスルーできていました。
でも舞ルートだとそうはいきません。
だって舞が強いんだもんw
「ちょっと成長した鬼」に妖刀での一撃をはじかれちゃうような主人公ですから、「それなりに成長した鬼」が相手だともう歯が立ちません。
当然、「くっ、こいつ強ぇ!いったいどうしたらいいんだ!」的な展開になります。
そこでさっそうと現れるのは陰陽師ヒロインの舞。
「力を貯めた一撃」で主人公では歯が立たなかった鬼を吹き飛ばし、鬼がいた場所をクレーターにかえます。鬼取丸も認めるほど強いです。
力の強い鬼がいても吹き飛ばすし、小物の鬼がたくさんいても、やっぱり吹き飛ばす。
もはや向かうところ敵なしの最強娘ですね。
そんな感じですから、舞ルートだと主人公は最後の方でちょっと活躍するだけです。しかもその活躍も舞の力によるところが大きいです。
ラストの方は、もうほとんどの鬼を舞と他ヒロインがぶっ倒してます。
舞ルートをクリアして思ったのは、この主人公は「ぶっちゃけいらないだろ」ということですね。
「馬鹿だし」「弱いし」「すぐ騙されるし」でいいところがありません。
特に「最強レベル」の力をもつ「鬼取丸」をまるで使いこなせていないところが、もはや擁護することができないレベルで主人公らしくないです。
ちょっと期待してプレイしただけに、
あれ?……全然萌えないし、燃えないんだが…?どういうこと?
え?これってホントにあのメーカーさんの作品なの?
新規じゃなく?
過去作を上回れとは言わないけど、過去作の後塵すら拝することができないのは、どうなの?
って感想です。
ヒロインの可愛さも活かしきれず、戦闘も中途半端、そして何より終盤の展開が、あまりにも安易。
むしろ桐谷華や北見六花の声にほっこりしただけで終わったような……?
総評すると絵とか音楽、声優さんの演技はともかくとして、残念としか言いようがないシナリオですね。