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naritatoさんの白衣性恋愛症候群 RE:Therapyの長文感想

ユーザー
naritato
ゲーム
白衣性恋愛症候群 RE:Therapy
ブランド
工画堂スタジオ
得点
90
参照数
70

一言コメント

専門用語が多いが、用語集による解説が詳しい。看護師の過酷さや悦びを感じられる。生々しい人間関係が胸に響き、飽きずに読み進められた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

・サボっていたわけではないが、作業の抜けを叱られる。
・異動後に碌な指導を受けられず、戦力外としてイジメに遭う。

 なぎさのこのあたりのイベントは特に印象深い。誰しもが一度は経験するような出来事には、思わず勝手に自分を重ねてしまい胸が痛む。このゲームはとかく描写が生々しく、現実にいてもおかしくなさそうな人物揃いなのである。

 イジメ問題を認識している周囲は現状維持しかしてくれない中、イジメを解消したのは自殺未遂。派手に「私はイジメられています」とアピールしてようやく取り合ってもらえた。
 ……初期対応できなかったはつみにも、イジメた部署も気持ちは理解できる。学校にせよ職場にせよ、多くのコミュニティは細かい暴言に目を瞑ることで成り立っており、一番楽な対処である様子見を選ぶのは妥当ではある。忙しい中、役に立たない新入りに教える手間を惜しんだり八つ当たりする気持ちも分かる。忙しさは精神を病むのだ。
 
 誰もがはつみのように意識を持って働けるわけではないし、はつみも決して真面目一辺倒ではない。逆に真剣みが足りないかおり・なぎさも最低限の仕事をこなす努力はしている。
 誰も彼も色々な物に折り合いをつけて生きているのだ。