多少ダルいなと感じる部分もあったけれども、後半の伏線回収は面白く読めた。しかしこの作品には大きな欠点がある。それは月社妃を可愛くしすぎたことだ。
僕は月社妃に恋をした。
ヒスイ閉じた後、嫉妬し主人公の唇を奪うシーン。
僕はもうこの子しかいないと思った。
だからこそ３章が終わった時妃ちゃんが死んだということは信じられなかったし、死んでなんかいないんだと信じて先を進めた。
でも妃ちゃんは確かに死んでいて、紙の上の存在として生きることも拒否し、本当に妃ちゃんと幸せになることはないんだってわかった。わかったとき僕がどんな気分だったのか自分でもよくわからない。
ただ僕は瑠璃と妃ちゃんが幸せに、ただただ幸せに暮らしている世界が見たかった。
紙の上の存在でもいい。ご都合主義でもいい。ただそんな未来が見たかった。
もちろん紙の上の存在なんて妃ちゃんの信念からすれば許されないものだけれども、それでも僕は見たかった。
結局、瑠璃は妃ちゃんのことをしっかり失恋して、思い出にすることができたけど、僕はそんなことできない弱い人間だ。
だから僕はこの紙の上の魔法使いという作品は納得はできても満足なんかできるはずもない。