記憶するに値しない凡作。シナリオ分量の割に近親愛の掘り下げが足りず、かといってインモラル感も薄い。リアリティは無くエロも薄め。シナリオライターが「初めての彼女」でみせた人物描写力は、本作においてはただ上滑りに終始した。 ”お水”ヒロインの掘り下げも遠く及ばない。
「初めての彼女」が怪作たり得たのは、シナリオライターと企画がドンピシャにハマった結果なのだろう。
誤解を恐れずに言うなら、発想の勝利。
対して本作は年単位で延期されての発売、シナリオライターとしても難産だったのではないか。
もはやそこに発想の良さはなく、総花的で凡百の内容にならざるを得なかった。
近親愛について深く掘り下げできなかったから、
いろいろ総花的な内容で増量・誤魔化した、といえば穿ち過ぎだろうか。
エンドもご都合主義なものに終わり、納得のいくものでなければ、ガツンとくるものでもなかった。
せめて…それこそ「初めての彼女」のように抜きゲーよりの作りであれば、
まだ近親愛のインモラルエロエロ感も出せたのではないかと思うが、本作のテーマは別の方向を向いている。
悲しいかな、私には実質エロ抜きシナリオ重視ゲームを楽しむ脳味噌など、とうの昔に失われている。
その脳味噌を部分的にとはいえ叩き起こした「初めての彼女」の怪作っぷりを称えるべきなのだろう。
本作についてもう一考察してみたが…結局のところ、
”お水”ヒロインを剛速球でぶち込み、思い切りの良い内容だった「初めての彼女」。
同じネタをそのままやる訳にはいかないからと、色々と搦手に頼り切ってしまい、内容がぼやけて勢いや面白みを失ってしまった本作。
ということなのだと思われる。
本作において、近親愛は搦手の一要素にすぎない。