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nanachanさんのSINCLIENTの長文感想

ユーザー
nanachan
ゲーム
SINCLIENT
ブランド
BOOST5
得点
80
参照数
791

一言コメント

物語に引き込み,グイグイ読ませていくパワーはトップクラス。非常に楽しむことができたので,その点については満足している。ただ,ミーナがあんまりにも・・・。もはやパッケージ詐欺と言ってもよいレベル。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

休日を利用して一気にクリアした。いやー面白かった。ストーリー開始直後からすぐに話に引き込まれたし,そこから最後までほぼノンストップで一気に駆け抜けた。


エロゲっていうものは,どうしても小説や映画といった他のメディアと比較して,プレイ時間が長くなり,その分プレイ中継続してユーザーを楽しませ続けることが難しくなる。であるからだろう,物語の序盤から中盤にかけては抑え気味に,終盤でどでかいインパクトを用意してお涙を頂戴していったり,どんでん返しで大きな驚きを残すような作品が多い。そんな中で,本作は,最初から最後まで物語に引き込むパワーを維持し続け,楽しませてくれた。楽しめた時間の総量や,連続して楽しむことができた時間という面から見れば,これまでプレイしてきた作品の中でもトップクラスであり,この点については素直に称賛したい。


ただ,非常に楽しめていただけに,やはり終盤の失速感が物凄く惜しかった。

失速感の原因は,バトル物のお約束的なものを外してしまったことに大きな原因があると思う。やはり,バトル物といえば,主人公が仲間と力を合わせて強大な敵をブッ倒すという熱い展開に醍醐味があると私は考える。ところが本作は,舞やシャーロットが早々に戦線から離脱してしまい,京や颯一はラストバトルには参加できず,主人公側で舞台に上がったのは徹と戦闘能力を持たない雫だけ。つまり,実質的には闘うことができるのは徹ただ一人。援軍が来たと思ったら,玲一と凪という仲間とはいえない微妙な面子。これでは盛り上がりに欠けてしまうのは当然であったと思う。展開上雫を連れて行かなければならないのは仕方がないが,やはり直接戦闘で徹と力を合わせて戦ってくれる人間が欲しかった。


あとは,これとは別のところで納得できなかったのは,ミーナの扱い。もうミーナが報われなさすぎでしょう。展開上仕方なかったのかもしれないし,ミーナが徹を庇うシーンは確かに感動的だった。でも,それでも納得できなかったのは,やはり雫よりもミーナが好きだったからだろうなあ。そもそも,物語序盤の描写からすれば,ユーザーがミーナのことを微塵も好きにならないというのは,はっきり言って無理ゲーである。そうであるなら,ミーナも生きて幸せになれる終わり方にして欲しかった。プレイ後にミーナが徹と腕を組んで幸せそうにしているパッケージを見ると,なんでこうなってしまったのかなあと思ってしまった。これは,はっきり言ってパッケージ詐欺と言ってもよいレベル。終盤までミーナが主人公サイドに来てくれることを信じ,今か今かと待ち続けていたのに,実現することはついぞ無かった。


だからこそ,FDが発売されることを強く望む。上ではミーナについてだけ述べたが(だってミーナが一番好きなんですもん),舞やシャーロットについても私は結構好きだったので,徹と結ばれるお話が見てみたい。というか,こうして冷静に考えてみると,私の中のヒロインランキングでは雫が4人の中で一番下であることに気付かされる。これで,良く楽しめたもんだなあ。それだけ,やはりお話自体が面白かったということだろう。


それにしても,ああ,ミーナ・・・。


世界観・雰囲気 13/15
シナリオ 23/25
キャラクター 12/15
サウンド 8/10
グラフィック 7/10
システム 4/5
個人的補正 13/20
総合 80/100