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namuyuさんの残念な姉との幸福論の長文感想

ユーザー
namuyu
ゲーム
残念な姉との幸福論
ブランド
りびどーそふと
得点
93
参照数
269

一言コメント

今の時代には珍しく明確なBAD ENDしかない√があります。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

こういう作品は始めてプレイした気がします。
大体の作品では一人のヒロインのルートではその中に皿に分岐があってもちょっとビターな終わり方をするくらいのものしかなかったと思いますが(と言っても自分がプレイしているのは2010年以降のものばかりです)この作品では明確に寧々√はBAD ENDしかなかったので驚きました。

先にクリアしたのが寧々√だったので涼音√を始めたときは「この作品まさか全部BAD ENDしかないのでは」と思いましたが涼音√では無事にハッピーエンドで終えられました。
というか思い返せば途中から明らかに風向きがいい方向に変わってきてました。
一番の違いは親父の主人公たちの仲に対する評価だったように思います。

寧々√では主人公たちの仲を打ち明けても強固に反対し、寧々が生徒たちは説得できたと抗弁してもそれは学校の中でのことでしかないと全く譲りません。
結局そのまま最後には・・・あぁ。

一方で鈴音ルートでは主人公たちの仲が学校でバレて鈴音が別の学校に異動させられそうになったとき、教頭とかけあって異動を保留させます。
なぜこんなに反応に差があるのでしょうか。
正直自分としてはこの親父、シンプルにへそ曲がりで主人公たちが自分たちの仲を認めろと迫って来たら反対するけど、その仲が原因で周りから迫害されたらそっちに対して反感を持つ、そういうタイプの人なのかな・・・とも思います。
ひょっとしたら何か見落とした点があるのかもしれませんが。
何にせよ父が中を支持してくれたことによって風向きが大きく変わります、父親と母親の家族の過去も明かされてそちらも何とかしなければならないとなった段階で明らかにこのルートはハッピーエンドになるしかないよなと思いました。
そして実際そうなりました。

もちろん別のルートより深い話に踏み込んでいるのでハッピーエンドになるみたいなのは他の作品でよくある、True√がハッピーエンドになるみたいなメタ読みでしかないのですが、本当になぜ寧々√はハッピーエンドになれなかったのか・・・
若干考えていましたが、たぶんこの話が結局は家族の話だったからなのかなという気がしています。
寧々は途中で将来のことについて「弟くんさえいればいいかな」と言っていたように、家族<弟なので、家族が認めてくれないとなると駆け落ちをしてしまいます。
最後には弟との仲を認めてくれない家族や世界は壊してでも弟との仲を守ろうとして・・・悲しいですね。
本当はたぶん、時間をかけても家族と向かい合って何とか認めてもらおうとするべきだったのかなと思います。
鈴音ルートで教頭が言っていたような、「構造に文句を言うだけでは甘い」みたいなそういう甘さもあったかもしれません。
後は父親・・・寧々√では世間からの目がとか家族を守らなければいけないというのも分かるのですが、その家族が全員覚悟決まっている状況でそんなこと言ってもしょうがないような気がします。
世間的には誰が納得していても肯定するべきではないトピックかもしれませんが、最後に決めるのは当人たちじゃないですかね。
その中で父親一人が家族を守らなければいけないからと言って反対するのは独善的にも見えます。
理屈で押し通そうとする寧々と頑固者の父親の喰い合わせが悪かったのが、あのBADENDの原因かもしれません。

違うかもしれません。
他の方が書かれているようにシナリオが雑なのかもしれません。
分からないですけど。
何にせよそんな風にあれこれ考えて普段一言感想しか書かない自分がこんな長文を書くことになっているのですからそれなりに後から振り返って考えることがある、いい作品なのかなと思います。