ほたるゲー。オーラスは情感演出の巧みさも相まって完成度が非常に高い。
ほたるルートでテーマ、伏線を一気に回収する構成になっているため、どうしても他ヒロインのシナリオは前座感がある。しかし本筋ルートはどれも読んでいて退屈はしなかったし、水準は超えていると思う。
本筋の好みとしては、ほたる>>>こころ>愛>>響子。サブヒロインの中では御影氏執筆ということもあり、こころ√が一段ぬけていたか。
派生は基本イチャラブなので評価に大差は無い。その後のほたるのことや、主人公の命も長くはもたないことを踏まえると、思うところはあるが、限られた時間の中でも精一杯幸せに生きるというのはこの作品のテーマ的にも合っているかな。
まあ開発者コラムを読む限り、このような評価になることは制作側も重々承知していたようで、どこまでほたる√で評価を爆上げするかに賭けていたようだ。
実際END1の完成度はテキスト、一枚絵、演出、挿入歌のコンボで読者をねじ伏せる強さがあった。王道ではあるんだけど、ひと夏の旅の中でようやく神から人になれた主人公が最後に涙を流せるようになったという終わり方。こういうの大好き。神曲「コトダマ紬ぐ未来」も最高だったし、なにより小倉結衣さんの叫びの演技が素晴らしかった。これオリジナルほたるに感情移入してしまうと、中々に許容し難い解決策ではあるけど、オリジナルが必死に生きようとするほたるに行う残酷な仕打ちを天津罪というならば、まさに主人公が生に執着するオリジナルを神として断罪することも天津罪であり、その代償として死があるというのは、当然ではある。ある意味、主人公が人として初めて味わった怒りの感情と向き合わずに逃げてしまっている(そういう観点でいえば、まだ完全な゛人゛にはなれていない)ため、オリジナルも含めた゛みんなを笑顔に゛というほたるとの約束は果たせないまま終わった。
END2はオリジナルと向き合うことで本質的には二人のほたるは同じ存在である気づき、言霊という神の力を捨て去ることで全てのほたるを合体させるという離れ技でハッピーエンドへと持って行った。まあご都合主義といわれればその通りなんだけど、じゃあEND2は無いほうがよかったかといえばそれは否であり、この二つENDそれぞれに価値がある。
御影氏によるとどちらが物語の最後に相応しいかはご自身で決めてほしいそうだ。完成度で言えば読者のほとんどがEND1と答えるだろうし、流れの自然さから言っても実際そうだとは思う。ただ、ほたると誠の後姿が見れただけで、END2があってよかったなあと思わされた。アオイトリもいつかやりたい。