人を選ぶ作品
当時のみさくらなんこつから、この内容は予想外。
序盤の従兄妹の宣言を「国家に服従したい。己が国家の支配下にあるという証が欲しい」というある種の筋(肉)の通ったものとして捉えることが出来れば、相性は良いと思う。
以下、昔のメモ
自らの親が海外に出張になった為に、従兄妹の《霞》の家に居候している主人公《笹本康介》
そんなある日、霞の両親…すなわち叔母夫婦は長期旅行に出かけてしまい、家には二人きりになってしまった。
そして霞は主人公に対して、言った。
「お兄ちゃん、ボクのこと奴隷にして?」
このセリフに加え、イラストレーターに《みさくらなんこつ》を起用した作品。
みさくらなんこつと言えば、『ふたなり』や『イキまくり』といった物を描かせれば右に出るものは居ない傑物で、すでにエロテキストを『みさくら語』という独自の言語にまで昇華させている。
さらにこの作品発売当時『五万人の女子高生のいるコンサート会場に乗り込み、それを脱がしまくる』という小説のイラストレーターをして有名度に拍車がかかっていました。
そんな人を起用して、前述の『奴隷希望』発言。
最早どんな系統の内容なのかは想像が付くでしょう。
「はみゅ」「はみゃ」「くきゅう」などと普段から奇声をあげている様な少女たち…みさくら語ではさらにこの上のクラスとはどんな奇声になるのでしょうか?
…『ここまで期待させておいて、一向に調教・陵辱モノに発展しない、哲学モノ作品』
とは、予想のナナメ上をいってくれる作品です。
「庭園の猪嚇しは永久機関である」
「現実の人間ではなく、想像の中で相手を支配する」
「己という存在全ての白紙委任をされる」
「自分達が自分達で居る為に、恋人であるのを止める」
「他人を完全には理解できないならば、神は最初から全く他人を理解できないようにつくるべきだった」
「今、人間は滅びかけている」
『みさくらを起用した挙句に哲学を語らせた、哲学者が絶賛したエロゲー』として伝説に残るのは確かです。