ErogameScape -エロゲー批評空間-

myself6さんの俺たちに翼はないの長文感想

ユーザー
myself6
ゲーム
俺たちに翼はない
ブランド
Navel
得点
82
参照数
1182

一言コメント

テーマ性についてはあまり期待し過ぎない方がいいかも知れません。各々が抱えた悩みですが・・・恋の力なのかなんなのか・・・いつの間にやら直ってます。気がつけば、もう大丈夫。問題なし。そこ辺りの細かい描写がまったくないので、おいてけぼりを食らった感がすごくありました。だが、それさえ除けば、十分神ゲー。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

この作品、OHPにこんな触れ込みがあります。

―――ありがちな悩みとありがちじゃない悩みを抱えた若者たち。
―――彼らが出会う、恋ともろもろ。
―――それはきっとどこにでもあるありふれた物語。
現実的な問題を主題というある種の宣言ですよね、これ。
なまじ、重い問題だけ取り上げて悦に浸るライターが多く、またそれが文学上高い価値をもつようにみなされておりますが、やはり一番わたしたちに関係する問題とその解決策を提示できるのなら、それが一番いいというのが私個人の考えなので、これには凄く好感を持てました。


そしてタイトルは「俺たちに翼はない」
これは、「そう言った現実的な問題を超能力や宇宙人などといった非現実的な方法は使わずに解決してみせますよ」という王雀孫の宣戦布告のように映りました。
現実的な問題を現実的に解決するというのは簡単そうに見えて、その実一番難しいのです。
1作目の「それ散る」からヒットし、神ゲーライターと名高い王雀孫はこれをどう料理するのか、楽しみでなりませんでした。


という訳で、このゲームには、かなり期待させられていましたがが処々の事情によりプレイするのが遅れ、今日ようやく終了。


問題のテーマ性についてですが・・・もし私のように思っているひとがいたらかなり裏切られるかも知れません。
とはいっても、解決してない訳ではないのです。答えは出てます。ただ、過程が出ていないだけで・・・。
例えるのなら、数学の答案に答えしか書かないようなものでしょうか?あってるが、それでは点は出ない。きっと0点になるでしょう。残念ながら、それでは間違ってるのと同じです。
ただ、答案しか書いてないだけで、しっかり王雀孫なりに問題を解いた・・・のかな?まぁ、私の勘がそういっているので、そう言う事にしておいてください。


例えば、2章。

千歳君の方は、空気を読みすぎて人に逆らえないような人間だったはずなのに、途中から翔君に不機嫌な態度をとってみたりバイトの同僚に上手く相手を立てながら反論してみたりと解決してます。
しかも、気づけば玉泉にべたぼれでしたし。ねぇ、千歳君。人間関係に疲れたとか言ってた君はどこへいったの?

玉泉の方は、二作目が失敗して自信がもてず自分の言いたいことが言えなかったなかったのが、三作目が発売決定して、いえるようになりました。もはやテーマが解決したと言えません。そりゃそうでしょうね。だから、何?



とまぁ、結構、致命的なテーマ性でしたが、結局はいろんな人間の生き方を書いて、「こう言う生き方もいいよねこう言う生き方もいいよね。さぁ君はどんな生き方を選ぶ?」といった風にユーザーにいろんな生き方・考え方を追体験させるのが目的だったようです。それ以外は・・・まぁ、気にしないでください。








んなことはどうでもいいんです。
ぶっちゃけ、これはキャラゲーだ。









このゲーム、普通では考えられないほどのタイプの人間が登場します。特に男キャラがすごいです。、
不良だったり、カルト系だったり、オカマだったり・・・。
しかも、不良も一筋縄ではありません。ラップ男だったり薬中だったり正統派(?)だったりはぶられっ子だったりとさまざまなバリュエーションの不良をしっかり書きあげています。
しかも、それぞれに弱いところというか、妙に人間味があり、本当にエロゲのキャラかと疑いたくなるような産物。極端な話、現実にポンと出されても問題なさそう。なさそうであり、ない訳ではないでしょうが・・・。

まさしく、キャラ(の設定)が生きてる。

実際、各々にかけれる時間が減りそこまで深く突っ込まれないので、正真正銘キャラが生きてるとは言い難いのですが、しかし、これだけのキャラを書きあげられたのは素直にすごいと思います。これを見るだけでもプレイする価値はあるかと。
ライターの人生経験が生かされてるということ・・・なのかな?なんか違う気もしますが・・・。


そして、それぞれの声優がまたいい働きをしています。
完全にキャラにマッチしています。声優からキャラを作ったのかと思えます。つーか、作ったとでも云われないと納得できない。うますぎる。ちょっばい。むしろ、まじやば。
嘘だと思うでしょう?
なら、今すぐ、OHPにいって声を聞いてみてください。感動のあまり、ひゃっほーーーいと叫び出しますから。マジです。といいますか、実話です。年がいもなくやってしまいました。隣のマンションの住民からから苦情がきました。嘘です。流石に苦情は来なかったですが、翌日奇異の目で見られました。OTL



まぁ、男なんてどうでもいいですね、ごめんなさい。



一番気に入ったのは、玉泉。

がちがちの委員長タイプかと思いきや、意外に幼い一面・ミーハーな一面を持ち合わせていて、時々園児化してみせたときのかわいいことかわいいこと。
細川君(アイドル)のことになると途端に声のトーンが上がり、年相応の仕草をするようになり、甘えだすようになり、口調も流暢になって、「myself6さんmyself6さん」と私の方に走り寄ってきて、思わずディスプレイ越しにドキッとさせられて・・・正直ヤバいです。彼女の為なら死ねる。萌え死ねる。むしろ、萌え殺される。

かと思えば、「デートでは、彼氏が走り寄ってくるのに憧れてた」とメルヘンなところも持っていて、その為に1時間前から待っていたり、むきになって「走り寄ってきましたよね?」といってみたり。backlogでこの台詞を何度聞いたことか。そのせいで俺つばの攻略時間が2倍になったと言っても過言ではないでしょう。一人だけ3周しちゃいましたし。

他のルートに行こうと思うのですが、「駄目だ・・・こんなこと俺にはできない」と玉泉にいい顔をしすぎて、このルートにはいっちゃんです。ブラックホールのような・・・いえ、それ以上の引力をもつので、攻略は最後にした方が無難です。そして、最初は玉泉には涙をのんでもらい、隼人のパートに入った時点ですぐにセーブをしましょう。・・・・・・ふと思いましたが、こんなことしてるのって私だけ?

他にも、作品を客が褒めた時に、感謝の意を素直に表明できずに、注文のチョコパフェを大盛にしたりしてましたが、言葉で言うより何倍も感謝してる気持ち・作品に対する思い入れが伝わってきます。しかも、それを、こっそりやるあたりが最高です。たま いずみは俺の嫁。






そして、高内。
※ここから先は重大なネタばれになります※

















―――高内は羽田のことが好き。
いや、仮面彼氏彼女以上に信じがたい事ですが、そのようです。
その好きなヒトが、あんなのなので、かえってイラついてきつく当たってしまう。委員長タイプですね。
別の章ですが、好きな人の為に清純派になろうとするあたりかわいらしいじゃないですか。いや、それはないか。流石に、あれは攻略したくないです。一生、友達でいようね^^

しかし、そんな彼女の幼さを許せるのなら、世界は平和だったんだという羽田君の一言も納得できる考えです。
いじめなどにしてもなんにしても大半の悲劇は、「相手の痛みを理解できない」+「異質なものを受け入れられない」といった幼さからくるものですから。
主人公に話しかけてましたが、「明日香はお前には高根の花」=「私とか・・・どうかな?」ってことなんでしょう。駄目だ。彼女がそう言うセリフを言う姿がそうぞうできない・・・。


ところで、コンドルはなぜ生まれたのかとか、カラスと翔の出会いとか、明日香とカラスの話とか、コーダイン犯人説とかコーダイン犯人説とかコーダイン犯人説とか、いろいろ回収されないままでしたねー。ファンディスクだす気まんまんだw
・・・それでしっかり回収してくれればいいですけど・・・。