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myself6さんの魔導巧殻 ~闇の月女神は導国で詠う~の長文感想

ユーザー
myself6
ゲーム
魔導巧殻 ~闇の月女神は導国で詠う~
ブランド
エウシュリー
得点
84
参照数
1574

一言コメント

よくこれだけの規模のゲームを作ったな、というのが正直な感想。粗削りな面も多いが、規模とエロゲ会社なことを考えると十分許容範囲内だと思う。次回作への期待も込めてこの点数

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

下手したら一般ゲームよりも規模がでかいかもしれない今作
どことなく三国志大戦を彷彿とさせるRTS戦闘、箱庭要素満載の自由にカスタマイズ可能な街作り、逆に頭が痛くなるほど数の多いモンスター配合
それぞれが個別でゲームの柱となるような要素を3つも取り入れておりとにかくすごいの一言に尽きます

しかし、つめこみすぎの弊害かさまざまなところで問題が見受けられます

まず内政について――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これについて何より許せないのが基本的に攻めちゃいけない・落としちゃいけないことです。
イベントにないタイミングで宣戦布告するとろくにイベントが起きないまま敵本城へとついてしまいます。
そうして敵の本丸を落としても敵武将は大抵は娼婦となり仲間になりません
普通は敵武将を捕まえるために強くなり城を落とすのに、このゲームの場合強くなるとやることがなくなってしまいイベントを待ちきれずに戦闘をしかけると敵武将が仲間にならないというかなり本末転倒なことになっています。
待ちの姿勢もゲームに変化を植え付けるためには必要ですが、全部待ちを強要されると流石にきついです。
せめて半分ぐらいは攻め落とせばOKぐらいの単純な要素にならなかったのかなと思います。

あと、相手が毎ターン全回復するせいでちまちま削れないのは城取りゲーとしては大きな減点。
わりと最初から強い敵がバンバン出てくるのにこの仕様のせいでひたすらレベル上げする以外どうしようもないです
ただ、負けてもレベルが上がるのでリトライしてればそのうちなんとかなります


戦闘について―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
RTSの根本的な問題ですが、細かい戦闘が何度も起きるとかなりめんどくさいです。
特にレベル上げや捕獲などでこれが顕著でレベル上げのためには雑魚と何度も戦わないといけないわけですが、毎度毎度同じ展開になってつまらない上にRTSなせいでそれなりに時間も食ってしまいます。
一応自動でやってくれる要素もあるのですが、部隊毎に指定しなければならないため自動にしたり直したりするのがまず面倒な上に、戦闘スピードが変わるわけでもないので眺める時間が増えるだけという結果になっています
よく言われている難易度が云々というのもこれに起因しており、レベル上げがかなり面倒なのにレベル上げを強要されるわけですからどうしてもストレスがたまります。
裏でAIによる自動戦闘を処理して(あるいは、お互いの戦力を比較して)一瞬で戦闘を終わらせるようなクイック戦闘があれば相当変わっていたんじゃないかなと思うと残念でなりません。

次に気になったのが工作無双
高難易度ゲーかと思えばあら不思議!
一体囮にすると馬鹿みたいについてくる敵を尻目に、残った工作兵で拠点せめると無傷で城をとれるサクサクゲーに!
…いくらなんでもAIが悪すぎます。
おかげでサクサク進めて助かりましたが

同じく無双系で一般兵無双
一般兵は全員、経験値が共通なために育てやすく強いです。
クリアした時は主人公ですらLv20前後なのに一般兵だけはLv50でカンストしました。
全員の経験値が同じなためこのLv50のキャラがいくらでも雇えて、何処にでも配置できるわけです。
使わなくなったら即解散すれば無駄に枠をとることもありません。
正直名前付きのキャラを育てる必要性が見いだせず残念な仕様でした。

あとは操作性です。
上にも書きましたが、自動戦闘にするためには部隊をクリック→自動戦闘の設定をクリック→進軍をクリックとなるため最低でも9クリック必要になります
更に部隊が死んだらまた新しい部隊を(手動で)出さなければならずそいつの設定もしなければなりません
またこの自動戦闘はまともに戦おうと思ったらまるで使えないので、その戦闘が終わったら元に戻す必要もあります。
手間を省くための自動戦闘ですがこれでは逆に設定するのが手間です。
他にも敵を追尾するモードがなかったりと微妙に不親切な点も多くあります。

動かせる部隊が3部隊なのは絶妙だったと思います。RTS戦闘という問題上あまり増えすぎると制御しきれなくなりますから
全部で9部隊もいいと思うのですが、99Cではかなり戦力差がないと削りきれない感じがありましたね



配合について―――は特に問題はないのですが、その前段階の捕獲が上の仕様のせいで面倒でしたね。



とまぁ問題点も多い今作ですが、楽しめなかったというわけでは全然なくむしろ時間を忘れてプレイしてました
問題は数多くあるもののそれ以上に光るものもありましたし、シナリオ・音楽・塗りなどエロゲを飾る三大要素がかなり高水準のものです
ここの評価に踊らされてプレイしないのはもったいないでしょう

また今作はこのシステムの処女作なためいろいろと残念な部分も垣間見えましたが、次回作で粗削りな面をなくせば姫狩り・戦女神・神採りを超える良作になると信じています