こんなに面白いゲームに生まれ変わるとは…。あの「ランス・クエスト」から諦めなかったアリスソフトに敬意を表したい。
ランクエとマグナムでは全く違うゲームと化していてびっくりしました。
一言で言えば普通のRPGが
「100の労力を払って100の成果を貰う」
ものだとすれば、
ランクエは
「100の労力を払っても80の成果しかもらえずランダムでさらに20の成果が奪われる」
みたいなとにかくコスト・ベネフィットの割に合わないゲームでした。
それが、マグナムでは
「100の労力を払えばきちんと100の成果がもらえ、さらにランダムで20の成果が上乗せされる」
と非常にストレスフリーなゲームに生まれ変わっています。
何より大幅に変わったのがモルルン関係(俗にいう転生システム)です。
以前はLv35以上から強制的にLv1まで戻されていました。1レベルずつしか上げられなかったので最低でも35回戦闘して苦労してようやくLv35まで戻ってそれで得られるのがスキルポイントたったの+2、という圧倒的な徒労感しか感じない(しかし周回を考えるとやらざるを得ない)糞面倒なシステムでした。
しかし、マグナムではLv1ずつしか上げられない縛りが消滅し、2回目以降のモルルンはLv5下がるだけとなりました。しかも、初回のモルルンもLv1まで下がりますが、装備はLv35の時のものをそのまま装備していられますので、そこまでお荷物にもならずに経験値稼ぎ用の狩場でガンガンレベルを戻すことができます。MMORPGをやった事がある方は分かるかもしれませんが、ゲームはじめたての頃に上級者に手伝ってもらってと次々にレベルが上がって出来ることが増えていくあの感じです。この絶え間なくレベルが上がっていくのがまず楽しい。
しかも倒す敵の数はせいぜい10体程度でLv35まで戻ってくることができます。これはLv35→37に上げるのと大して変わらない数です。このゲームではスキル回数がほとんどすべてなので、モルルンでLv1→35にしてスキル+2能力+2%を得るのと、普通に育ててLv35→Lv37にしてスキル+2にするのではそう大きな違いはありません。
一般的にRPGのレベル上げは終盤になればなるほどレベルが上がりにくくなり、かける時間の割に強くなりにくく退屈になっていきます。これはRPGの宿命であり決して逃れられない部分です。ところが、モルルンシステムはこのLv35→37にあげる本来退屈な時間を、一度Lv1にもどすことで次々にレベルアップしていく快感を残したまま、しかしゲームバランスを崩さないという理想的なレベリングシステムへと変化させています。
しかも、モルルンできるレベルというのが一つの目標になります。レベル上げって結局はキリがないというかいくつまで上げればいいのかだんだん分からなくなっていきますよね。しかし、このゲームでは次にモルルンできるれべルが決まっているので、「今回はこのキャラをLv35まであげよう」とか目標が定めやすくなります。キャラの数が多くてサブにも経験値が入っているのでそうやって1体をあげているうちに「ついでに育てている別のキャラもLv33まで来たからどうせだしこいつもLv35まで…」「おっとアイテムボーナスが付いてるから赤棘からアイテムを集めよう」なんてしてるうちに「あ、こいつは次の装備品のレベルがもうあと1だから…」とどんどん新しい目標が出てきてとにかくユーザーを飽きさせない!本当に素晴らしいレベル上げゲーです。あっという間に貴重な休日が終わってしまいます。
もはやモルルンはただひたすら面倒くさいだけの作業ではありません。ユーザーを飽きさせないために新たな目標を提示してくれる画期的なレベリングシステムへと生まれ変わりました。
また、育成対象となるキャラも前は全員ハンマー一択で、誰がどれか分からない、といった状況からは一変しました。ランクエではキャラの個性がないと批判しましたが、マグナムは全員それぞれ個性のあるキャラになっていて30体育ててもそれぞれに個性があってまだ育て足りないと感じるほどでした。
そうはいっても冒険の根本は変わっていないので、序盤は相変わらず酷い出来です。
ランクエと同様、少し道を間違えるとスキル回数が足りなくなって積むこともしばしばあります。この事理緑介入要素無しの試行錯誤だけのマゾ専用運ゲーはどうにもならなかったようで、私は諦めて攻略見ました。
しかし、まぁそれも待機が追加になったことで少し難易度が緩和されています。
待機が枠を圧迫するのも意外といいエッセンスになっていて、特にヒーラーなどはヒーリング・回復の雨・完全復活などが固定枠になるので後の枠で果たして待機を入れるか攻撃をいれるかなど悩む場面が多くて面白かったです。スキルをいちいち入れ替えないといけない所はめんどくさいなと感じる時もありましたが。。。
あと、マグナムをして気づきましたが、ランクエの探索のダメなところはこのゲーム独自の面白い要素がすべて1周目で使えないというところもあったんですね。赤棘(シンボルエンカウント)がレアなアイテムを落として経験値的にもお得なんですが、先の見えない1周目でスキル回数もかつかつな中でそんなのに触れられる訳もなくとにかくスルーするしかありません。功績を集めるとアイテムの修正値が増えるボーナスが付くんですが、これも寄り道してたらそもそもクリアできないのでいつも「4/5」ぐらいでボス戦に行かざるを得ないとストレスを感じる要素にしかなっていませんでした。
マグナムもそういったところは変わっていないのですが、マグナムボーナスという一定以上戦ったらもらえるボーナスが実装されて2週する機会が多くなりました。そうなると今度はマップも広くなって快適に旅をすることができるので、ついでに赤棘からボーナスアイテムを集めてうはうはすることができます。
最後にシナリオです。
ランクエの感想ではシナリオは触れてなかったのですが、ランクエのシナリオはとにかくスカスカで何も進んでおらずひたすら張るだけ張った伏線をほっぽりだして、カラーの村を往復していただけでした。
過去作を続けてやっているので断言できますが、ランクエのランスは過去作と印象もかなり違います。今までのランスは任侠物のヤクザのような感じで好き放題やるはやるんだけど自分の中で一本通ってる芯がありました。ランクエのランスは例えるのならクレームを付けまくる認知症のおじいちゃんです。かっこよさがないし、好き放題が限度を超えてるせいで見てて不快。
一番イラッときたのが、呪いを解いてもらうためにパステルの下まで行ったのにエッチしたら呪いを解いてもらうのを忘れてたってエピソード。シナリオの都合で動かされてるのの最たるものなのですが、どうやったらあれだけ苦しんでた呪いの事を「忘れた」の一言で済ませられると思ったのかまるで理解できません。それがライターの考えるランスなんでしょうか?私はそんな認知症チックな主人公は嫌です。
で、肝心のマグナム部分はどうかというと少し過去作に戻ったかなという感じです。世界を揺るがす大きな事件があるのも一つの要因だと思うのですが、ヒーローらしいかっこよさもあり、少なくとも不快に感じる場面は少なかったです。物語的にもAL教関連のイベントがあらかた片付いて満足しました。
総評として全体的に前作の批判を真摯に受けとめ、面白い要素を削らずに問題要素をほとんど修正できています。「初めからやれ」というのはごもっともなご意見ですが、あれだけ散々だった前作をここまでたちなおらせることは並大抵の苦労ではないと思います。逆に0から作った方が楽なぐらいでしょう。
これだけの作品ができるのならアリスの未来はまだ明るい。ランス10への期待もこめて85点としました。