ギャグ中心のエロゲで、アチ恋とかつよきすとかにも比肩するぐらいの良作でした。エロシーンの最中にヒロインの聖水をポットに溜めこんで「おやおや素晴らしい匂いがしますね」とかいっちゃうバカゲーといえば分かってもらえるかと。
これはまともな体験版があればもっと売れてただろうなぁ…と思うと実に惜しい。
物語の初めは、主人公(圭吾)の後輩である憂がものすごーく緊張した表情で車を運転しているCGから始まります。
圭吾「---なあ」
流れる街並みを眺めながら、俺はぼんやりとといかける。
相手の応えを待たず、次の言葉を発した。
圭吾「左車線だと高速に乗りこむけど……」
憂「う、うるさいです。黙っていてください」
圭吾「……す、すまん」
12時間の長旅の後、電車を乗り継いで故郷についた時には、夕陽が街を覆っていた。
キャリーバックを転がしながら、のそのそと町並みに溶け込もうとした俺の前に現れたのは、2シーターのやけに燃費の悪そうな車だった。
とんだ物好きがいたものだと鼻で笑っていたのだが、そいつはあろうことか俺を車に呼び込み、そのまま発進したのだった。
(中略)
圭吾「なんか迎えに来てもらって悪いな」
憂「いえ」
圭吾「中心街が様変わりしてて、すげえ焦ったよ。駅なんていつ改築したわけ?」
憂「ええ、そうだと思います」
圭吾「駅前の、なんだカフェ?ルヴォワールだっけ?すごい人だったな。こっちじゃ人気あんの?」
憂「どうでしょう」
圭吾「それにしても、いつ免許取ったんだよ。なんか新鮮だなー、お前の運転見るなんて。ああ、そっか。俺が向こうに行ってからだよなー、いいなー、俺も免許取ろうかな」
憂「ええ、いいと思います」
圭吾「世界的大不況という激甚たる被害をどう考える?」
憂「素晴らしいと思います」
圭吾「人の不幸は蜜の味か」
憂「……」
圭吾「……」
圭吾「おっぱい」
---頬を打つ効果音(パシン)
憂「た、たた、叩きますよ……っ!」
圭吾「うぐっ、ずずっ……」
とまぁ自分はここあたりで既に笑ってました。
共通はこんな感じのノリで進んでいきます。合わない人には合わないのでしょうが自分にはドストライクでしたね。
シナリオは普通といわれてますが、筋もメリハリもしっかりしててとても読みやすかったです。この”普通なシナリオ”を満たせるライターがどれだけいることか…。
あとは主人公やヒロインがとても魅力的ですね。
ヒロインは可愛いうえにエロエロです。ルートに入ったらとにかくエロエロになります。シーンも多くてシチュも使える物が多くて…というかこれは元々抜きげーのつもりだったのでしょうか?今作最大の謎です。
主人公はひたすらに面白いです。こいつがいなければこの作品はなりたってないってほどで、ギャグの9割は担当しています。
まぁ、それだけではなく考え方がものすごくまっとうでいいやつです。
よくあるカッコイイ系の主人公でもなく、リアリストなタイプでもなくほんとに”まっとうにいい”という言葉がこの上なくあてはまります。
例えば、休暇を利用して亡き恩師のお店の手伝いにやってくるのですが、その手伝いに関しては金を受け取らないといった粋なこともしますが、
修行している国(イギリスだっけか?)のシェフに恩もあるし自分にも夢があるからずっとそのお店の手伝いをするわけにはいかないとしっかり線引きもしてお店のスタッフを育てていきます。
エロシーンの人格はとてもじゃないけどまともではありませんが、きっと気のせいです。
あと、よくある「女の子の着替中に入り込んじゃった!」的なシチュエーションで真っ先に社会的身分を心配するあたりこのライターはいい意味でオタ文化の常識からずれてますね。
と絶賛してますがシナリオが特別よかったわけでもないのでこれぐらいの点数です。
この手のジャンルのゲームに私が挙げられる最高得点が85ぐらいなのでシステムのバグも考慮して83にさせてもらいました。