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myself6さんの彼女は高天に祈らない -quantum girlfriend-の長文感想

ユーザー
myself6
ゲーム
彼女は高天に祈らない -quantum girlfriend-
ブランド
Escu:de
得点
86
参照数
2140

一言コメント

序盤の知識垂れ流しからどことなくいつ空を彷彿とさせる癖のある文章でしたが、そういうのに耐性のある方ならば シナリオもゲームも楽しめる良作だと思います。耐性がないならアマテラスが本編にでてくるあたりまでシナリオは無視しましょう。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

「でも、私はそういうわかひこの方が安心できるし、うん。
 だからわかひこは今のままでいいかなー」
こういうびみょー青臭い文章に思わず身もだえてしまう私にとってはドストライクでした。

ロンリーロンリーガール(孤高の論理少女)とか量子的な彼女とか殺神鬼とかこころくすぐるワードがビシビシ飛びかうのには厨二心を刺激されまくって垂涎ものでしたね。
中盤以降、戦闘が忙しくなるにつれて青臭い会話が減っていったのが残念でなりません。

シナリオとしては、普通のいちゃラブものかと思えば意外にもテーマがしっかりとしていました。しかも、シリアスが無駄に重くなることもなくかといって軽すぎることもなくという絶妙なバランス。

人をのろうことでしか自己を保てない禍津神、呪いとして殺戮衝動にかられる殺神鬼の一族など根性論ではよく都合良く無視されてしまう絶対に幸福に慣れない類の人達。
そういった者たちとどう向き合うかが全体のテーマとして描かれていた気がします。
>「人も神も、みんないろんなものの影響をうけすぎていて、思い通りの未来なんて簡単には行きつけない。でも周囲に流されてばかりじゃ望んだところへはたどりつけない」
>「だから……だからこそ、その中で、自分が何を大切に思うのか、それが大事なんじゃないか」
何をすべきかではなく何を大切に思うか
時として忘れてしまいがちですが、とても大切な事だと思います。

ガチ土下座などところどころオーバーな表現はありましたが、気にするほどではありませんでした。
しかし大禍津神の物語はごろーちゃんの話と一緒に終わらせておいてほしかったな。
意外性なんていらないから突然イメチェンはしないでほしい…。
あと、敵ボスがやたら増えたと思ったら最終的に戦うのはほとんどいないというのもなんかなーって感じでした。
敵ボスがラッシュするのは嫌いなので個人的には嬉しかったんですが、お前何のために出てきたんだよってキャラが一体…立ち絵は可愛いのに…



話は変わって、RPGパートですが…面白い!

スキルがどんどん増えていって、どのスキルを付けるか悩むのが楽しいですね。
スキルポイントやレベルもどんどん増えていくので、ストレスよりもいろんなスキルを付けれるようになる爽快感の方が大きいです。
ステータスを吟味しながらこいつは智力重視で~とかこいつは武力重視で~とか悩むのはRPGの醍醐味の一つでしょう。
あと、手に入れたスキルをどのキャラが持つか決められるのはいいですね。こういう自由度のあるシステムは初めて見ました。

敵もところどころに糞強い奴が居て、苦戦して倒す楽しみもあります。
またボスによっては眠りや沈黙といった状態異常でつぶせるボスもいるんですが、こういう状態異常系はボスにこそ通じるべきだと思ってる私はこの仕様が好きでした。とくにAGIを下げるのはラスボスにも通じます。(そもそも雑魚に状態異常がきいてもどうせすぐ倒すんですから仕方ないでしょう。)
それと支援系の効果が高いのもわたし好みでした。ボス戦は強力な支援でようやく倒せるぐらいが一番だと思います。

寄り道しなければすぐにボスへといけますし、寄り道すれば色々とスキルが手に入って楽しいと進行面でも自由度は割と高いです。
ver1.01から引き継ぎもできるようになっているのでプレイする前に是非パッチを当ててみて下さい。