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myself6さんのつよきす3学期の長文感想

ユーザー
myself6
ゲーム
つよきす3学期
ブランド
CandySoft(きゃんでぃそふと)
得点
80
参照数
4559

一言コメント

一学期と同じというのはまずありえません。そもそもが面白くない。クスリと笑えたのが数回という程度でギャグゲーとしてはお粗末もいいところです。代わりに、日常ゲーとしてはこんにゃくにも匹敵するレベルかもしれません。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

つよきすは元々ギャグが面白くて一躍有名になった作品でした。
それに比べ、今作の三学期はつよきすの名にふさわしくなくギャグは最低レベルです。
というか、はたしてギャグを入れようとしたのかすら不明なありさまです。
というのも普通のギャグゲーだと明らかにここは笑いを取ろうとして失敗したなってところがあるのですが、今作は少なくとも私から見て笑いを取ろうとしてる部分が見つかりませんでした。

しかしその代わりと言っては何ですが、日常ゲーとしては丸戸かと思うぐらいに「細かいところでキャラの魅力を引き立てる」という手法が出来ていました。
少し例をあげてみます。

●乙女さんが朝の門番を後任に引き継ぐことになって、今日が最後の門番って場面

かに「あん?いいじゃんまだ。あと5分くらいゆっくりできんぜ」
今朝はかにを起こす時間がなかったからちょっとだけゆっくりできるのか。
レオ「……」
レオ「いや、行こう」
きぬ「なんで?」
レオ「なんでも」
今日は遅刻したくないもんな。


●門をくぐる場面

服装も整えて……。
レオ「……」
……くしゃ。
(中略)
乙女「……ん?ちょっと待てレオ」
乙女「ネクタイがゆがんでいる。まったく、最後までしようのないやつだ」
レオ「ありがとう」
乙女「甘ったれめ」


この細かいやり取りを見ているだけで、レオが乙女さんの門番がなくなることを…さらに言えば、乙女さんの卒業を寂しい気持ち迎えていることが分かります。
それを寂しいと思いつつもしっかりと受け入れて、その上でネクタイを”わざと”ゆがめるという「甘え」をする。
思わず嫉妬してしまいそうなぐらいに上手い描写だと思います。
というか、エロゲキャラでこんな行動をする奴ってそうそういないのではないでしょうか。
ここを読んでから一気にレオに好感をもてるようになりました。


とまぁこのように日常の所々でキャラ同士の密かではあるものの確かな思いやりがあって、日常ゲー友達ゲーとしてはこれ以上にないほど成功しています。


あと、村田が所々に絡んでくるのですが、根がいい奴になっているんですがライバルポジションは維持していていいライバルキャラになったな、という印象でした。

繰り返しになりますが、一学期と三学期はまったく別方向の作品です。
しかし、三学期も一学期に劣らないぐらいの名作かもしれません。