ErogameScape -エロゲー批評空間-

myself6さんのエヴォリミットの長文感想

ユーザー
myself6
ゲーム
エヴォリミット
ブランド
propeller
得点
75
参照数
1250

一言コメント

ようやく「あやかしびと」を超える燃えに出会えた…。恋愛とかの下手さはほんと相変わらずですが、凄まじく燃えました。ラスボスとか置物レベルと思ってファントムキラーに重点を置いていたので、ジャンプ展開とか想うこともなく非常に楽しめました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

滅茶苦茶にファントムキラーが優遇されてて全般的に燃えるところの8割はファントムキラーが占めてました。
メッセージとかテーマ性とかは相変わらずですが、そもそも期待してないです。
燃えさえあればそれでいいんだといった気分。


ルートのお勧めは、かずな>しずく>>>ルーティア
内容は、かずなが決闘、ルーティアがロボット物、しずくがラスボス超常系。
どうも私はロボット物が嫌いなのでルーティアが低めに出ています。


色々ほめたいところがありますが、まずは絵…というか塗りがめっちゃ進化してます。
どうせパッケとイベントCGだけだろと思ってましたが、全般的に進化してました。プロペラ頑張った。
ただ、原画が相変わらずな感じなのでいくつか塗りがフォローしきれてないのもあります。もっとも以前ほどではないので気にするまでもないレベルですが。

次に、ルート毎の配慮。
BBもそうでしたがやっぱり戦闘ものでルートごとにラスボスを分けてくれるのはありがたいです。
よんでてマンネリ化してこない。
戦闘もので一番問題なのは「またこの敵かよ…」って感じで何度も何度も同じ敵と戦い、最後になるとライターもアイデアがなくなってつまらない戦闘になってくってパターンですが、東出はそれがないのが美点だと思ってます。
特に今回は、かずなが決闘、ルーティアがロボット物、しずくが超常系と分担もできていたのでどのルートで何が起きたっけ?って混乱することもなく読み終わった後に綺麗に整理ができました。
前作は詳しく覚えていないのですが、ラスボスは違っても似たような人間なので結局何が何だか分からなくなってた覚えもあります。


で、もっとも肝心な「燃え」
正直言って部分的な燃えで言えば、エロゲの中でも最高クラスでした。
何と言っても、ファントムキラーという存在が私が求めていた燃えにもっともあっていた。
そもそも燃えといっても戦闘部分でシナリオが燃えに作用できることなんでほとんど皆無です。
そこ辺りは音楽、演出の役割でしょう。
では燃えるシナリオは何なのか?
燃える場面に至るまでにいかに綿密に、そして大胆に場面を用意できるか。この一点に尽きると思います。
その点で、今作は完璧でした。

○動機
いままでの東出の敵キャラは確かに敵キャラたるにふさわしい奴らでしたが、どことなく物足りない部分がありました。
今作をやって気付いたのですが、誰も主人公を向いていないのです。もっと正確にいえば、誰一人主人公に憎悪を向けていないのです。
というのは、今までの敵キャラはすべて、人類が憎い・皆殺しにしたいなりの別の目的があって、その目的を阻んでいる主人公が邪魔だから主人公と争っていました。
敵キャラにとって、主人公は向かい合うべき主役ではなくただの邪魔ものにすぎません。

ですが、ファントムキラーは完全に「主人公が憎い」「主人公を殺したい」。その感情から端を発しています。
しかも最後はタイマンです。
主人公を憎み殺しに来る相手とのタイマン勝負。
私的燃えるシチュエーションランキングで堂々ベスト1の燃えシチュエーションでした。

○感情移入
1週目に限った話ですが、惹きつける力もめちゃくちゃに高かった。
そもそも、東出のシナリオは日常(但し、萌えとか恋愛は除くw)が魅力的なのですが、今回は演出のバックアップもあり主にギャグがさらにパワーアップしていました。

そこにさらに、謎解きが加わったのですからもはや敵なし。
序盤のフェイントが効果的で目が離せないぐらいひきつけられました。
ていうかほんと目を離せないって意味で謎解きは効果的ですね。今回まじまじと実感しました。

これらのおかげで感情移入することの少ない私でもすいすい感情移入できました。ここは素直に評価したいです。

○演出
やってみればわかるでしょうが演出が大幅にうまくなってます。いくつか使いまわされてましたがww
音楽も燃える曲が非常にノリがいい!


とまぁ、こんな感じでファントムキラーとの一戦は非常に素晴らしかったのですが、ラスボスとの戦いはどうかといえば・・・ほんとに消化試合でしたねww
むしろその前のファントムキラーのあたりが見所だった気がします。
ほんと終始ファントムキラーばっかりww
終盤は結構疲れてきてたのでちょうど良かったかもしれません。
しかし、ラスボスの気持ちは結構共感できました。世界制服とかよりも何倍も納得できたかも。


否定したい部分も結構あります。
恋愛の下手さとかテーマの薄さとか恋愛の下手さとかテーマの薄さとか恋愛の下手さとかテーマの薄さとか恋愛の下手さとか恋愛の下手さとか恋愛の下手さとか!!!
ですが、まぁそもそも期待してないうえに語っても仕方ないことなのでやめときます。そろそろ文字書くのも疲れてきましたし。

あーただ、死に掛け→進化→勝利っていうのはむしろ定番ですのでさほど気にならないと思います。
進化って言葉が使われてる分逆にまだ納得がいく。
こっちを気にするぐらいなら、死にかけのところをトリガーハッピーで止めさされた某双七君が生きてるあたりの方が気にしたいww
バトル物は一部の例外を除いてこの枠組みは変わらず、むしろこの枠組みの中でどう料理していくのかが肝だと思います。
もっとも、ビッグバンとかはもう料理とか問題ですらないのですがwww