設定(キャラ)が目を引くものであった割には、中身はやや平凡。
メーカーHPの作品紹介には、
「世の中を少し失望した主人公と、片田舎で出会った知的障害を持つ少女・千夜との数日間のお話です。」
とあるが、千夜の「知的障害」がシナリオの中心になっているわけではなかった。
じっさい、ゲーム内の企画・シナリオ担当のコメントでも
「あくまで物語の一キャラの性格付けとして、知的障害を扱っただけ」
「テーマは「知的障害者の少女」ではなく、「知恵遅れの『ちや』を中心にした、ある夏の田舎の物語」です」
とも述べられている。
「前者を期待していた人、その期待を裏切ってごめんなさい」というコメントも続けられているが、
最初からそういう「期待」をさせたのが問題ではないかと。
というわけで、実際にシナリオの中身は「知的障害」などよりも、3人のキャラが主人公をめぐって
微妙に対立したり嫉妬したりするという内容が中心になっているように感じられた。
シナリオ自体は、2人のキャラのも含めてそれほど唐突な展開などもなくちゃんとまとまったものに
なっているが、これといって印象には残らなかった。分量は短めで、共通部分も多く、
主人公とキャラクタ、キャラクタ同士のやり取りは盛り上がりの薄いものだという印象。
「知的障害」という点を除けば、「数あるゲームの1つ」というところだろう
(どちらかといえば、悪くはない部類ではあるが)。