『秋』を舞台にした優しさと絆の物語
Hシーンがたった一つのみ。攻略対象もただ一人だけ。
上記の情報を知らずエロゲーとして本作をプレイすると不満が残る人がいることは仕方無いと思う。だが、あえて一つだけ、一人だけにしたからこそみんなの関係性がより尊いものに感じられたし、複数人攻略可能であれば私はこれほどまでにこの作品を好きになっていなかったとすら思う。
日常パートは様々な豆知識を知ることができ、ギャグも私の肌に合っていて楽しめたし、主人公含め全員声がついているのも良かった。CGは美麗かつ数も多く、音楽も本作に合っていて美しい。一昔前の作品とは思えないほど演出もたくさんあった。
プレイ開始序盤からキャラクターの名前が個性的だと感じてはいたが、まさかサブキャラ含め一人一人の名前に意味があったことには驚かされた。
登場キャラクターは魅力的な子が多く、最終的にはサブキャラ含め全員好きになれた。お気に入りはやっぱり四君子。互いを大切に想い合う優しい四君子のみんなが好き。その中でもひよと春告は特に好き。
みんなのお姉さんな春告が本当に血の繋がった姉だったと分かった瞬間は思わず自分まで嬉しくなってしまった。
お気に入りシーンは終盤、『あのおままごとを、ほんとうにしよう』とそれに続く
『その時まで、"だんなさま"はしまっておいてくれ』という台詞。
鈍感だった笹がここまで言えるようになったという成長を感じられ、かつておままごとの終わりの言葉を何より怖がっていたひよへのこれ以上ない最高のプロポーズで感動した。
その後エンディングを迎え、タイトル画面にて各章のタイトルが一つの文章になった瞬間、この作品が愛おしくてたまらなくなった。
朱門さんの作品をプレイするのは本作が初めてになるが、残りの未プレイ作品もいずれ全てプレイしていこうと思う。
秋は他と比べ季節を題材とした物語を作るのは難しそうに感じるが、ここまで秋を表現できているのは、お見事としか言いようがない。