キャラゲーとシリアス展開は相性が悪いというが
この作品については絶妙にマッチしているように感じた。
特に、この作品のメインルートの穹ルートは良く似た双子の恋愛という、
近親相姦の中でも極限に背徳感に満ち溢れている設定だ。
ルート中の心理描写は背徳感を引き立てる表現が多く、例えば、
穹がオレンジジュースの表面の雫が陽射しのせいで急に乾いていく状況を恐れ、
悠は道端に溶けてしたたり落ちたアイスが急速に乾いていく様子に違和感を感じていた。
これらは恐らく、周りの状況によって二人の関係が急速に失われていく状況を想像させるものであり、
二人の関係は一時であり決して結ばれることがないことを二人の心に意識づけるものであったと思う。
実際、二人の選んだ道というのは思慮の足らない選択であったと思う。
しかし、親のいない状況で二人きりのしかもよく似た双子となれば、主人公が優柔不断で
流されて不快だと感じる人もいるだろうが、そんなに無理のある展開ではないと思う。
お互いを傷つけるだけで、将来性がなく、救いのない純愛というのは刹那的であり背徳感があるからこそ輝くように思える。
CloverPointの夜々ルートもこの点が評価されているのではないか。
(あと、個人的にはLeafの鎖の妹ルートも)
そういった意味でこの作品も秀逸であり、
メインルート以外も詳しくは書かないが、シリアス展開がただ単に不快なだけではなく、
シナリオとキャラを噛み合わせる潤滑油の役割を果たしているように感じた。