ありふれた終末系のストーリーをただでは終わらせない作品
この作品の体験版をプレイしたときは狂気じみた殺人犯があらわれたり、
多くのトウヤとの回想が入ったり、
展開が読めな過ぎて
とんでもない良作になるか凡作になるかのどっちかと思われた。
実際本作をプレイし始めて、
個別ルートにいたっては、あらゆる回避不可能の災害が起こって自分とヒロインがその中で生き抜き
結ばれるという展開なので正直ありきたりで、そこまで面白いものではなかった。
(面白くないといってもテンポが良いので、決して苦痛ではなく飽きることもないが)
バイオハザードやデイアフタートゥモローを思い出させた。竜巻はなんだろう?
しかし、ナルルートから世界の真実が見え始めて、
自分が想像していた真実が二転三転する展開は面白かったし、
TRUE ENDに至るまでにはこれまでプレイしてきたヒロイン達のルートで、
彼女らが抱えてきた思いなどがフラッシュバックされて
涙したので伏線の作り方は流石といえる。
織塚はメインヒロインではないが、
彼女が身を挺してイリを守る意味にも納得させられた。
それに加えて、バースデイという要素がなければ良くある作品の一つになっていただろう。
最初に自分の誕生日を入力させ、ことある重要ポイントにおいて自分の誕生日が想起される。
最後にはHAPPY BARTHDAYの演出があり、
それこそがまさにこの作品のテーマであったと気づかされると同時に涙する。
自分の誕生日にもう一度プレイしたいぐらい良かった!
ただENDで繰り広げられる重要なやりとりの中に
「この世界はあなたが想像しているようにほんの少しだけ優しい」
という言葉が出てくるが、それは自分の中では戯画のパルフェの最大のテーマであって、
この作品はこの作品で独自のすごく良いテーマを持っているのに、
ちょっとやり過ぎてしまったのでは?と感じてしまった。
結論としては、「よくある展開をかき集めたのかな」という点はたしかにあるが、
(今更完全に新しい展開で終末系作品を作るのは無理だと思うが)
この作品の持つ[HAPPAY BARTHDAY]のテーマが生きていて、
キャラクターも魅力的でいて、伏線もしっかり回収される
涙なしにはプレイできない作品に仕上がっていたと思う。