設定や序盤のレース部分にはあまり惹かれなかったし、後半も若干くどさを感じる場面はあったものの、話が進むにつれて面白くなるシナリオから目が離せなかった。
最初がレースからはじまったこと、るなきゅんのキャラクター性に惹かれず2年ほど放置していた。が、実際にプレイしてみると徐々にるなきゅんの可愛さを実感していくし、るなきゅんの背景もいい意味でとても重く、読んでいて楽しかった。短いプレイ時間でカタルシスを感じることができる。
サブキャラに関しても、最初はミャウ・ミャーフのことを主人公にちょっかいかけてくるウザめな恋敵ポジションかと思っていたが、るなきゅんと同じく長い年月主人公のことを想い続け、ラストは身を挺して主人公がるなきゅんを救う為の手助けをするミャウの気高さ、生き様の美しさにとても心を打たれた。何か機会があれば彼女の本心についてもっと掘り下げて欲しいなと思ってしまう。きっとるなきゅんを救う為の手助けを平然としていた彼女にも、るなきゅんへの友愛とT-BITへの恋心を抱えて苦しんだ場面があるのだろうから。
後半の流れにはKeyらしい、日常の尊さを感じさせられる場面もあり好きだった。ただ希望を抱いてしまうような展開と絶望を感じる展開の繰り返しがあまりに多いように感じてしまい、そこがくどいと思ってしまう要因になっていた。惜しい。
またノベルゲームでレースという題材は中々厳しいものがあるな…ということを実感してしまった。どうしても迫力に欠けているな…と思ってしまった。
ただ全体的に見て好きなシナリオであったし、つまらないと感じる作品ではないなと思った。
月と地球を繋ぐ恋、とても美しかったです。