お勧めとして、シリーズ全体の感想をこの作品で
分割購入形式の「収穫の十二月」の最初の作品。
この「冬」から「春」「夏」「秋」そして最終話の「収斂の十二月」と続いていく。
各話のあらすじは公式ホームページに載っているのでそちらを参照するといいと思う。
最終話までプレイした感想としては
最高
の一言だった。
各話に一つ主題を決めて十三話、
詰め込みすぎとしか思えない題材とキャラの数を
「神が実在し、それについての秩序が存在する世界」という土台で
「二組のカップルの成立と(事実上)結婚まで」という一本の筋に集約させている
楽しい思い出の積み重ね
困難に団結した経験
世界の成り立ちの理解
失敗と反省
問題と決断
疲労と休憩
トラブルと破局
破局からの取り返し
一つ一つの話が独立した面白さを持ちながら、
全体の起承転結の中で必要な要素を担っている。
キャラクターも、これだけ変人ぞろいだと
普通はドタバタになるところを、キャラの持ち味を生かしたまま
しっとりしたシーンも見事に演出している。
まさに全てが収斂する大団円での感動とエピローグの余韻は
これまで読んだ物語の中でも最高の一つ。
欠点としてはテキストが荒い、とにかく荒い。
同人作品なので許される点ではあるが、
表現に使う語彙が独特な上に、会話でもそれを使い、なおかつスムーズに進むので
この作品での「竹田語」を実地で覚えるつもりでないと理解できない。
それでもその労力をかけるだけの価値のある作品だと断言できてしまう。
なんでここまで知名度が低いのだろう?
シェアの少ない非18禁の同人だからだろうか?
「ひぐらし」のようにブームが起こることを願う。
これ以後は「冬」個別の感想(というか解説?)
第一話「収穫の十二月」
登場人物と舞台の紹介になる話
この時点で
「人間として意固地な雪」
「神として傲慢で孤独なしろ」
という似ているようで違う二人が示される。
第二話「境域の一月」
この世界の土台である
「神を縛る秩序」を示す話。
あと、八方美人で策略家な柾木の性格も。
第三話「贈与の二月」
もう一つのストーリーラインである
「遠山耕平と森野早苗の関係」の話。
名脇役の「田上さくら」と「上杉もより」が登場。
第三話「恋々の三月」
柾木と雪の子守の話
具体的な手段とその勉強、気持ちの温度のすれ違いなどが
生々しく、ほほえましく、感動的に描かれている。
個人的に性教育の教科書に載せて欲しいほどお気に入りの話。