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morufaさんの封緘のグラセスタの長文感想

ユーザー
morufa
ゲーム
封緘のグラセスタ
ブランド
エウシュリー
得点
86
参照数
2595

一言コメント

お帰りエウシュリー part2

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

■作品傾向タグ■


RPG


■作品構成■


全8章からなる主人公のサクセスストーリー
同社過去作同様に日付を進めたりマップから帰還するとイベントが進行する仕様を採用
奴隷階級から少しずつ身分を上げていくことで拠点マップ内でもいける場所が少しずつ増えていく
某有名RPGのコインの様な収集要素もあり、使用することで各種追加要素を解放できる

戦闘面は陣形を使い最大25キャラまで配置が可能(アペンドキャラを入れても25には届かない)
敵はこちらのタイルを中心に前後左右の最大4箇所に布陣、プラス最大4?連戦まで発生
味方陣営の行動を連続させることで会心率が上がるチェインシステム有
エンカウント方式はマップによりシンボルのみやシンボルと通常両方など違う

味方ユニットは基本斡旋所にて金で雇う形になるが、女性ユニットはイベントを進めることで
雇用状態が「盟友」となり以後金銭の支払いによる再雇用が要らなくなる

封緘システムという装備合成のシステムを採用
アイテムにより合成によって更に能力を伸ばしたり、ついているスキルの強化、変更が可能
また奴隷ということもありマップから持ち帰ったアイテムは強制的に組合に
格安で買い取られてしまうが、未鑑定のアイテムに限り買い取られず手元に残る
鑑定品に関しては付与されるステータスに2~3程度変化が付くのでトレハン感も若干有


■作品内容評価(良かった点)■


物語開幕から能力は最強なのに無能な指揮官のせいで最悪な環境へと落とされたところから始まる
という展開は同社過去作と比べても類を見ない求心力があった

特に、奴隷となったばかりでろくな装備も無いくせにいきなり難易度の高いマップへ足を運び
そこで出くわした最悪な状況も掻い潜って戻ってくるなど、主人公の設定を旨く使い
プレイヤーの興味をぐいぐいと引き上げていった流れは特筆して評価したい

ゲームシステムに関してはダメだった時期と比較して随分と簡潔にまとめたなといった印象を持った
レベルアップによる強化と装備、装備の強化とスキルレベルの強化と、プレイヤーが手を
加えられる部分も多すぎず少なすぎずいい塩梅であったと思う

キャラに関してはやはり一番行動を共にすることが多いリリカが一番魅力的に映った
貴族の令嬢が身分違いの恋に落ちるという分かりやすい展開ではあるが、
人を信じるということを諦めていた主人公の心を最後まで暖め続けた彼女の姿は
過去作ヒロインたちと並べても遜色ない素晴らしいキャラであったと思う


■作品内容評価(悪かった点)■


物語序盤の強烈な求心力とは裏腹に、いやそのせいもあってと言うべきか、中盤から後半に掛けての
失速感が無視できないほど巨大なものとなってしまっていた

正確には4章から章自体のボリュームがとてつもなく少なくなっていき、基本的には何か一つ
状況を打開すると次の章に進んでいるようになり、序盤で高めに高めた気持ちが
凄い勢いでしぼんでいく感覚が余計に感じ取れてしまう結果となっていた

またイベント進行の度合いや雇用しているかどうかのせいもあり、物語中にジェダルとリリカ
以外が会話に殆どはいってこないため、パーティーには10人を超えるキャラがいるのにも拘らず
ジェダルとリリカの二人旅にしか見えなくなってしまったのも勿体無い点といえる

加えてゲーム全体の難易度を変更できないせいもあってか恐らく過去最低といっていいほど
難易度は低く、一々レベリングや装備厳選などしなくても容易にクリア出来てしまうのも
個人的には残念に感じた

後は殆どの人が仕様を完璧に理解できずに終わったであろう封緘によるスキルの強化と変更だが、
コレに関してだけはソシャゲのチュートリアルのように一回やって見せた方が良かったのではと思う
2周目以降に手に入るUR武器も強化値が90ほどあるので恐らく強化が完了する前にスキルの強化と
厳選を行うのであろうが、システム不理解のせいでただそのまま強化して終わってしまった人も
多いのではないだろうか

また既に強化を終えてしまうとスキルの強化と変更が出来なくなってしまう点や
現状最大難易度マップであるアペンドマップも一度訪れると再訪問が出来ないなど、
RPGとしてのリプレイアビリティは非常に悪い点は要改善と言える


■総評■


久々に時間を忘れてプレイできて嬉しいと思う反面、まだまだ全盛期のエウは
こんなものじゃないだろ?と期待してしまう気持ちが邪魔をしてしまったなと個人的には感じている

望むらくは難易度の変更(開始時選択)とそれに応じてドロップ品の質の向上、付与ステータス変動を
より大きくすることによるトレハン要素の向上等があれば、お宝を捜し求めてマップにもぐり続け
良い物がでたら買い戻して再び掘りに行く、というストーリー序盤に感じたワクワクをより
感じることが出来たのではと残念に感じた

今の仕様ではマップ攻略がただのストーリー進行の装置にしかなっていないので、
どこかで素材探しや装備厳選といった各種目的をプレイヤーに選ばせるようにすればより良く
なるのではないだろうか

と色々書きはしたが天秤や円環に比べれば全然良いので、今回培ったノウハウをしっかりと次に
活かしてくれる事を切に願う