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morufaさんの君とつながる恋フラグの長文感想

ユーザー
morufa
ゲーム
君とつながる恋フラグ
ブランド
みらーじゅそふと
得点
67
参照数
2226

一言コメント

るちえ絵の無駄遣い

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

■作品傾向タグ■


学生主人公・田舎・夏


■作品構成■


全選択肢数は2回だが、実質2回目の「どの子が一番気になるか」の選択肢のみを参照している
同時派生型フラグ管理方式。

幼少期に酷い裏切りを体験したことにより人との付き合い方にトラウマを抱えた主人公が、
縁結びとは全く無関係な付喪神である桔梗と一緒に、再び人との付き合い方を学んでいく、
というのが大筋の流れ。


■作品内容評価(良かった点)■


緑茶お抱えのるちえ絵を引っさげて来たこともありCGや塗りといった直接目で感じ取れる部分の
満足度は十分な出来。kakao氏も自らのタッチを残しつつるちえ絵の濃さに負けないようにいつもより
力強く塗られたデザインは新鮮さを感じつつも安定した結果を出せていたように思う。

一枚絵に関しては数点「え、そこで使うの?」という突拍子もない場面で差し込まれてはいた点が
気にはなったが、かれい氏の水彩タッチが効いたかわいらしいSDも相まってそこまでひどくは
映らなかった。

CVに関しても売れっ子を多数起用というわけではなくここ数年で活動を始めた新人や、
メインとしての起用回数が少ないアクターの声が久方ぶりに聞けたという点については
個人的には良かったと思っている。


■作品内容評価(悪かった点)■


シナリオ面に一切触れなかった上記の良かった点を見ても解るかと思うが、
今作において絵以外に賞賛できる部分がまるでないというのが非常に残念でならない。

特に他レビュワーたちが口を揃えて悪評するテキスト、特に主人公の描写の仕方が郡を抜いており、
読んでいるうちに何度も継読を断念させられるという事態が発生していた。

この感じは近作においては『夏色ラムネ』に非常に近く(あれよりは多少マシではあるが)
今作も同様な感じにテキストがシナリオを構成するまでに至らない、非常に拙さ、いやある意味
幼さが見える出来といえる。

特に一文の中に同じ単語を重複させたり、例)「"まぁ"○○だけど、"まぁ"□□だよね。」
書き言葉主体の会話が多すぎたり、例)「"幼い"頃でも一緒にお風呂って・・・」
あとは単純に誤字脱字、特に脱字があらゆる場面で登場したりと目も当てられない。

特に書き言葉が主体となった会話場面が異常に多く、このせいもあって登場人物たちが
偽物臭く、誰かに読まされているような印象が強く残る結果となり、絵の可愛らしさと相まって
非常に怖く見えてしまっていた。


加えて主人公像もとてつもなく気持ち悪く描写されており、いまどき受けがいいどころか
悪いタグとして扱われるような「ヤレヤレ系」をメインに据えた「トラウマ系」まで
持ってきており、言い淀みの多さや思考回路、行動理念など何をとっても鳥肌が立つような
気持ち悪い描写方法は、逆に狙って描こうとしてもかなり難しいのではないかと思う程。

中でも授業中に汐織が発作を起こした際に見てみぬ振りをしようとした場面は必見で、
申し訳ないがこの場面を見た瞬間私の中でスコ缶氏はサイ○パス認定させてもらった。


また全キャラクターを通して「おおう・・・」という表現が非常に多く用いられ(特に序中盤)
ノリのいい悠香なら兎も角他のキャラクターまでもが多用し、根っこが同じライターの
産物であるということを否応無く突きつけられるので、高頻度で物語世界から
現実世界へと無理やり連れ戻される。


■総評■


ここ数年のタイトルの中でも、かなり上位に入る「パケ買い詐欺」タイトルだと言えるだろう。

そもそも発売前からして、公式サイトのキャラクター紹介文が中国語をエキサイト翻訳したような
変な文面で、先ほどちらっと見た限り直されたような印象ももったが結局箇条書きのように
書かれた文章は違和感だらけでこれでもかと地雷臭を撒き散らしていた。

兼ねてよりすたじお緑茶倒産疑惑の矛先として向けられていた同社だが、確かにこのどことなく
童貞臭く全く推敲されてない文面は、『祝福の鐘の音は、桜色の風と共に』や
『はにかみCLOVER』といったテキストがダメだった頃の氷雨こうじ氏に似ている気もするし、
どこで拾ってきたか解らないサイコ○スライターの正体は実は・・・。

一応汐織ルートで主人公のトラウマが汐織の言葉で氷解していく描写を

「ピキピキ・・・ピキピキ・・・パリーン!」

と表現したところは今作で一番笑わせてもらった。多分後から自分で読んだら恥ずかしくて
仕方が無くなると思うが、是非スコ缶氏は読み直したほうがいいと思う。


緑茶の新天地なのかどうかはさておいて、新規ブランドとしてみた場合でも及第点とは
とても言えない出来栄えなので、今後ブランドの舵取り"だけ"は注目していきたい。