BALDRらしさは無くなったがこれはこれでアリ
BALDRシリーズ20年の集大成。
ひとまずメインストーリー・キャラストーリーをホットドガーでクリア、
ボスラッシュをギークボルフ、ボスラッシュEX未クリアという状況でレビューしていく。
ストーリー面に関してはよくHeartからここまで底をあげてきたなという感想を持つほど、
過去作の設定や新規設定を上手く混ぜ込んだ「読ませるシナリオ」になっていたと思う。
特に平行世界の設定を使った各ヒロインたちとの関り方やそれ自体が
作品のメインテーマの一つであった
「孤独の寂しさ」
を非常に際立たせることに成功しており、True Endの為の布石も十分であった。
またHeartで実装された兵装少女システムも今作ではグレードアップしており、
私自身もHeartで感じていた少女たち自身との関わりやストーリーを読みたいという希望が
今作では完全に叶えられた形となっており、それだけでも十分評価に値するといえるだろう。
主人公も情事シーン以外では完全フルボイス化とこちらもHeartでパートボイス化してしまった点を
改善してくれた上、CVも感情の乗った良い芝居で非常に聞き応えが良いと感じた。
バトル面で言えば多くのユーザーからきかれる
「BALDRじゃない」
という声は確かに最もな意見なのだが、個人的にはこのどこか懐かしさを覚える
ゾンビを撃っていかに長く生き延びるかという昔のフラッシュゲームを連想させるような内容は
とても好きだったので、別段嫌悪感や残念に思う部分は無かったように思う。
というよりシリーズ全編を通して銃火器系統を殆ど使ってこなかったので、こういった形でも
BALDRを楽しめたという感想の方が大きいかもしれない。
装備のトレハン要素も付加プロパティ数事態は少ないものの非常に良くできており、
ボスラッシュモードは文字通りエンドコンテンツ級の難しさの上、各種ストーリーにも
好きにアクセスできるUI作りは過去のどのBALDR作品よりもリプレイアビリティ性で優れていた。
操作性に関しても従来の
「テクニックを突き詰めれば凄い挙動で動ける」
といった天井が高いものから
「操作種を少なく誰でも一定のパフォーマンスでプレイが可能」
「補助兵装の付き方によってはさらに上のプレイングが可能」
というライト、中堅プレイヤーにも易しい内容となっている。
しかしやっぱり思うのが、上空への打ち上げや折角Heartで導入したバウンドの概念を完全に
捨ててしまったのはもったいないとも感じた。
加えて先にも述べた装備のランダム性が補助兵装だけというのも少々もったいない気もするし、
エンド後の装備を乱獲するのに適したマップが存在しない点も非常に残念だ。
また人によってはエロシーンがどのヒロインも似たようなカットであった点は減点対象となるかもしれない。
最後に総評となるが、BALDRシリーズのイメージからかけ離れた作風には一言文句を言いたいという
多くの批判も理解しつつ、BRINGERの文字通りシリーズに終焉をもたらし、新たなシリーズを
呼び込んでくれるよいきっかけをくれたという意味で一定の評価も下したい。
ぶっちゃけてしまうとホットドガーではない私にとっては今作の方が無双感を手軽に味わえる上、
実力不足でクリア出来ないコンテンツが一つあるだけで割りと満足であったりする。
シナリオ面でも耳慣れた単語や舞台のその後が垣間見えたりタイムテーブルの開示がされたりと、
相変わらず専門用語が飛び交う難解な世界観であったが、それも「BALDRらしさ」という点では
読んでいて非常に感激する部分も多かった。
これでシリーズが終わるということには描いた図面の大きさとボリューム的に寂しいというよりかは
もったいないという感想が先に出てくるわけだが、BALDR HeadチームがACT路線から
撤退するわけでもないようなので、今後の展開をボスラッシュEXホットドガークリアに挑戦
しながら待っていようと思う。
さよならBALDR、ありがとうBALDR