Alcotらしくはある。らしくはあるが・・・
毎度毎度安定した作品に定評のあるAlcotの新作。
タグとしては別に田舎でもなく過去や未来、異世界というわけでもなく、「神様」は実在するという部分だけで
ジャンルとしてはごく普通の学園もの。
かといって部活動や学内イベント、旅行や解決すべき共通テーマがあるわけでもなく、ただぼけぇ~っと
日常と個別を消化していく形が永遠と続く。
キャラの掛け合いは相変わらずテンポもよく睡眠導入剤とまでは行かないが、個人的にはネタだと思っていた
「それな」のフレーズが割とライターが本気で多用してくるあたりに、どうも私自身が勝手に
ジェネレーションギャップを感じてしまって非常に不快な気分になってしまった。
内容としては神としての前世を持つ主人公が、前世での悪行に対して転生した人間の身で
善行を積み重ねていくことで償いをしていくという設定。
ただこのあたりの設定も個別入りを果たすと割りとどうでも良くなっていく流れが多く、
特に善行を働くという行為自体に「Zポイント」というポイント制度を導入する形となっていたため
序盤の主人公の行動が本音も建前も偽善にしか思えなかったのもマイナス。
ただヒロインキャラはどれも立っており、一人で妹、ロリ、母親、女神、彼女、とあらゆる属性を網羅した
アイリスは、もはや何がしたいのかわからないと突っ込みを入れたくなるキャラではあったが、
これはこれで新しいヒロインのあり方として個人的には良いと思った。
褐色犬っこロリのリコも、性知識希薄+淫語というロリからかけ離れた属性をあわせることで存在感のある
キャラへと仕上がっており、個別入りをしてからはおそらく一番変化に富んだキャラだったのではないだろうか。
反面発売前からの設定やイメージなどからかけ離れていたのがマリとミコトの両名。
ミコトのキャラ紹介の「けじめ案件ですね」というセリフから、私としてはもっとこう恋に恋する暴走乙女を
イメージしていたのだが、蓋を開けてみたら割りとまじめっこのいい子ちゃんで拍子抜け。
委員長キャラを不満に感じる流れの多い中自分から委員長キャラを定着させようとするマリは
この点だけとってみれば割と変わったキャラで存在感があるように思えたが、彼女に関する裏設定が
割ととんでも内容だったり、いい子ちゃん設定がミコトとかぶっていたこともあり
この両名に関しては正直どっちか一人でよかったのでは?という感想が拭えなかった。
とマイナスイメージばかりを語ってしまったが、相変わらずUIやキャラ絵、立ち絵、BGM
などは一定水準を満たせているし、ダイヤログもキャラの噴出しのようにポップアップするシステムも
目線がキャラから外れにくいという利点がADVに非常に適していていて個人的には非常に好きなシステムだ。
ただこれも言ってしまうと、Alcot全体としての進化や、新しいことに挑戦しようとする姿勢はまるで感じられない。
鬼ごっこ!クラスの名作が今後排出されることを心より待っている。