読みやすかった
量産型ラノベではあったが、内容自体は非常に自分好みではあった。
タグとしてはファンタジー・騎士・戦闘・冒険・ハーレムと、学園物でないだけで個人的にはかなり好印象なラインナップ。
ルート構成は個別が存在せず、一夫多妻制という設定もあいまって登場ヒロインはみんなお手つないで
主人公とエンディングを迎える。
量産型ラノベプロットではあるものの、最強主人公が自らの能力を隠しながら結局は最後に本気を出して
ハッピーエンドという流れは、ありきたりといわれるが故の安定した情動は誘ってくれたように思う。
ただどうも、悪役の描写が悉く失敗していた点は非常に残念だ。
しょっぱなのバーサーカー二人組みを皮切りに、なぜか森の中で出会う髪フェチ、カニバリズムに
ネクロフィリアと、設定自体は狂気に満ちてはいたが退場が早すぎてまったくといっていいほど
善との対比がうまくいっていなかった。
単純に火竜の育成と魔剣の捜索、修理だけでは大した山場が作れなかったということで出てきた
盛り上げ役という印象が非常に強く残ってしまう結果となったのは非常にもったいない。
果つることなき未来よりのダモン・ミスカコンビのような、事あるごとに主人公たちと目的がかち合って
そのたびに衝突するような悪役設定のほうが良かったのではないかと個人的には思う。
騎士と名のつくタイトルは見えている地雷、というのはレビュワーたちにとっての常識ではあるが、
個人的には過去の失敗を少しは払拭できたのではないかとも思う。
ただ相変わらず「騎士」である必要性はどこにもなかった点は引き続き要改善だろう。
今後の騎士シリーズの活躍に期待している。