なんだかんだで最後までプレイ
日本書紀をモチーフにしたIZUMOシリーズ最新作。
シリーズ物なので前作との比較、と行きたいところだが、
私自身がIZUMOシリーズに手を出すのが初めてなので、純粋に今作のみの評価に留めておこうと思う。
キャラタッチは薄く絵巻物のようで、これに関してはテーマも相まって非常に良く描けていると感じる。
ただ昨今の作品群と比較してみた場合、どうしても「古臭く」映ってしまうのも事実。
また一部遠近の比率がおかしく描写されている場面(アヤカの指差し)なども散見された。
ただキャラ自体は非常に可愛く描かれており、CVも大御所ぞろいということもあり、
そういった点では十分及第点と言える。
特に古代の独特の固有名詞をすらすらと発音するところは流石といわざるをえない。
ただ妹である美空のセリフの約半数に「兄貴」という単語が混じっているので
気になるユーザーは多分かなりしつこく感じるだろう。
後一つ疑問に思ったのが、この絵師はセーラー服が好きなのだろうかということ。
学園の制服は勿論のこと、攻略対象5名の内3名の私服がセーラー服を模したものとなっている。
さて、ではゲーム部分の方はどうなっているかというと、これに関しては非常に評価がしづらく困っている。
実際一周目を詰まることなく普通にクリアする程度の面白さは感じていたはずなのだが、
今実際文字におこしてみると的確な表現がまるで思い浮かばない。
ゲームバランスもそこまで悪くなく、五行思想をテーマにしたバトルシステムは非常に良くできていると感じたし、
マップの作りこみも製作者側の愛を感じれる部分で好感が持てる作りとなっているのも確かである。
だが、実際これを人に薦めれるかといわれると首を縦には振りづらい。
まずバトルの根幹を成す、キャラクターに新たなスキルを付与する「勾玉」の存在だが、
これのキャラごとの管理が非常にめんどくさい。
「火玉」、「水玉」といったように、今作では全部で15種類の勾玉が存在する。
そしてそれぞれがLv1からLv5までの段階を持っており、これらはキャラにセットするか、
セットしたことで使用可能となるスキルを戦闘中に使っていくことで経験値を溜め、レベルを上げることが出来る。
勾玉のセットにはキャラ毎に3種類(武器・防具・アクセ)の装備スロット毎に、
ゲーム進行度合いによって最大5つまではめれるのだが、
この管理が物語後半になればなるほどめんどくさくなってくる。
まずパッとみ何を装備しているのかがキャラクター一覧から確認できないうえに、
キャラ同士の勾玉交換も一々取り外してから出ないと行えない。
またLv5が最大のために、5になったやつはなってない勾玉と交換をしていきたいところであるが、
5になった勾玉を装着しているのか否かといった視覚的なサポートもまるでない。
最初こそLv5になりましたというメッセージを確認して勾玉の装備チェックをするのだが、
途中で一度でもメッセージを見逃すと、全6キャラのうち誰のどれがLv5になったのかが分からなくなるのだ。
また道中拾える装備であるが、これもメッセージに
「大地の衣を手に入れた」
などとアイテム名が出るだけで、実際そのアイテムがどのキャラが装備できるものかが分からない。
加入キャラが少ない序盤こそ大体の推察が出来るが、中・後半になるともはや総当りである。
一応キャラ毎に装備のジャンルというか、シリーズ化がされているのである程度の予想は出来るが、
そもそも不自由なのには変わりない。
さらに五行思想を基にした強弱点システムであるが、これも思ったようには機能しきれていない。
というより、道中の敵からの被ダメが少ないうえに、ターン終了時と戦闘終了時に
マナが微量に回復するので、3.4戦オートで戦った後全体ヒールを挟むだけで永遠にレベリングが出来る。
道中の敵と対等に戦い、回復ポイントを探し当てて「ここをキャンプ地とする!」といったようなこともなく、
ただ只管オート戦闘、時々回復をするだけで終わってしまう。
と、ここまで書くとつまらない作品のように思えてくるのだが、
実際私自身どこが面白いのか分からない。
分からないのにいつの間にか最後までクリアしていたという謎。
一体どこにそこまでの求心力があったのかわからないが、少なくとも「不快」ではなかったように思う。
ここが足りない、もっとこうすればいいのに、という点は数多くあったのだが、
それが致命的かといわれるとそうでもないのである。
言うなればガソリンスタンドの臭いが癖になるような感覚であろうか・・・。
さすがに二周目をやる気にはなれないのでここで私は身を引くが、
遊べる作品を探しているユーザーがいるとすれば、一応最低限のラインはギリギリ超えてきている、とだけ伝えておこうと思う。
ただ間違いなく、この作品をプレイしていなかったことで、
「えっ!?お前IZUMO4やってないの!?」
といわれるような作品ではないということは確かである。