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morufaさんのランス10の長文感想

ユーザー
morufa
ゲーム
ランス10
ブランド
ALICESOFT
得点
96
参照数
971

一言コメント

超大作シリーズの名に恥じない素晴らしい締めくくり 感動をありがとう

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

■作品傾向タグ■

SLGライクRPG



■作品構成■

1や3のリメイクをベースにしたキャラカードを用いたターン制バトルシステム。
全16ターン(プレイヤーが介入できるのは15ターンまで)の間にゼス・ヘルマン・リーザス・自由都市
の4カ国を舞台に魔物軍に対してランスたちがどう立ち回るかによってエンディングが多岐に
渡って変化していく。



■作品内容評価(良かった点)■

30年近いシリーズの歴史にしっかりとしたストーリーと幕引きを用意してくれたという、
この一点だけでも十分評価に値するといえる。

バトルシステムに関してもランクエやリメイクで問題視されていた回数制限付きの攻撃が、
連続使用することでコストが一時的に上がるという非常に優れたデザインへと変更された点も
非常に評価ポイントが高く、歴代キャラ総出演ということで大量にあふれかえるキャラクターたちの
参戦機会も同時に確保できたという点も非常に重要といえるだろう。

全体的に見ても「ランスを英雄(主人公)として成立させた世界」の一つの完成系としては
これ以上無いと言って良いほど構成点が高く、エピローグとTrueエンドの両方の役割を担った
第二部の存在は、まさしく今作の屋台骨といっていい素晴らしい効果を作品に与えていた。

周回要素に関しても細かい点で新テキストがしっかりと書き込まれているので、
1部2部を交互に攻略してCPを確保しつつ新しい展開を目の当たりにする楽しみ方は、
『戦国ランス』と同様の中毒性を有していた。



■作品内容評価(悪かった点)■

予めマニュアルでも書かれていた通り、周回を前提とした作品傾向には恐らく賛否両論あるのでは
と思うが、私見的には周回前提の作りにしたにも関わらず、周回の作業感が緩和される施策が
何もなかった、という点においては賛同するところである。

基本的に周回を有利に進めるための重要なファクターであるCPであるが、大抵これらは
特定のエンディングに辿り着くことで手に入るものが多く、また道中のイベントにCP獲得が
割り振られているものに関してもそのデータで一度何かしらのエンディングに辿り着かないと
CPが手に入らないという制約もあり、ノーマルスキップの機能しか搭載されていない今作では
作業間を減らすことがなかなか出来ないようになっている。

またこれら特定エンディングを目指した周回も一部条件がシビアなものもあり、
下手をすると望んだエンディングに達せずにもう一度同じエンディングを辿ってしまい徒労に終わる
ということもままあるため、この辺りをチャレンジ要素と見るかやる気が殺がれてしまうかは
正直個人個人によるところが大きいだろう。

私もCP付きの特定エンドはまだ3つ4つ残っているが、先ほど一度失敗して同じエンドに
再び入ってしまったためクールダウンがてらこれを書いているといった具合である。


■総評■

ランス10という作品単体としての評価ももちろんあるが、私的にはそれよりもなによりも
ランスシリーズというものにここまでちゃんとしたエンディングを作ってくれたということに
対しての感謝の念が圧倒的に強く、正直なところシステム面の不備や煩わしさはどうでも
良かったりする。

特に二部最終部の感動的な再会やエンドロール中のランスたちの余生の様子など、
見てるときは涙で前が見えなくなり、書いている今では胸が締め付けられるほど感情を
突き動かされている。

ここまでの感動をありがとう。

そして、お疲れ様でした。