一風変わった感動を味わえる隠れた名作
発売当事にプレイしていた個人的にかなり好きなタイトル。
タグとしては学園、部活、幼馴染とお馴染みの部分を押さえており、よく言えば王道であり悪く言えば味がない。
が、今作の売りはそういった一見退屈そうに見えるシナリオがポイントの一つとして挙げられる。
簡単に言えば共通や個人を含めた全てのルートが、グランドルートに対しての伏線として用いられている。
なので一見退屈そうに見える各種王道展開も
「どうして王道展開になっているのか」
という、単純にライターの力量不足という結論に結びつかない確かなギミックが仕込まれている。
・許婚を名乗る転校生
・後輩が義理の妹になる
・メイドが家に押しかけてくる
・伝説のやきそばパンが売っている学園の購買
・異常な権力を持つ生徒会
・学園アイドルと親衛隊
学園物のあるあるネタがこれでもかと描写される様は手当たり次第感を通り越してよくもまぁそこまで
思いついて詰め込めたなという感心も出てくるのだが、これすらも全てグランドエンドへの伏線である。
また個別ルートも全てが全て王道展開で終わるというものでなく、一部ルートではグランドルートへの導入と
プロット全体の種明かしを少しだけ任せられているヒロインが混じっているなど、
作品全体を通してシナリオが無駄になりにくくなるような配慮が見て取れる。
この作品を評しようとするとどうしてもネタバレになってしまう上に、そうしてしまうことでこの作品の魅力が
大幅に低下するために詳しい評価はここまでとするが、味読であるなら是非ともお勧めしたい一作である。
特に氾濫するラブコメ形式に辟易としているユーザーには、一風変わったアプローチをしている今作は
どこかに感じ入る部分を見出せるはずだ。
この隠れた名作がもっと広く知れ渡ってくれればいいと切に願うばかりである。