学園もの+SF要素という設定はありがちだが、シナリオは秀逸。テンポよく最後まで飽きさせず一気にプレイできた。2流のライターなら終盤はご都合主義で力任せに〆てしまい結果的に駄作にしてしまうのだが、この作品はご都合主義という刃を鞘に納めたまま拳だけで何とかしようとした姿勢を評価したい。ただラストまでは良かったのに、エピローグがあまりに普通であっさりと終わったのが残念。エンディングまで手を抜かずに仕上げてくれたならもっと評価は高かったのだが。。
コミカルな学園ものに見せかけて、実際はかなりシリアスでダークななストーリーの部分があります。
個人的にはこういう作りは結構(というかかなり)好きですね。
それに音楽もシ各場面に見合っており良曲揃い。
バトルでは演出こそ普通ですが、熱い音楽で否応なしに盛り上がります!
ただSF学園モノって一歩方向を間違えれば一気に面白くなくなる危険性を含んでいるのも事実。
実際序盤こそ意外と面白いかも?って感じで引き込まれていっても、途中(特に個別√に分岐して)から途端に白けてしまう作品の多いこと多いこと・・・w
この作品は最後まで一気にプレイできた数少ない作品のひとつになりました。
まずテンポがいい。
まとまりがいい。
そして理屈付けが少ない。
「理屈付け」とは言い換えればゴチャゴチャしていないというか、まぁそういうことです。
作品を例にするなら『Dies irae』あたりが個人的に「それ」にあたるのかな。
ストーリー自体は面白いんだけど、文章に妙に着飾った言い回しが多いので逆に読み疲れするというか・・・。
(そういえばDies iraeは最後までプレイするのに1年近く費やしたなぁw)
ともあれ最後まで手に汗握るシナリオに仕上げた日野旦氏に感謝を。
そして主人公ボイスに梅咲チャーリー氏という声優を選んだスタッフに拍手を。
ラストバトルで絶体絶命のピンチに陥った主人公に新しい力(ハロー)が覚醒するのかな-と匂わつつ、実際は現状の力だけで打破させたのは立派です。
だって成田くんのハローってお世辞にも強力な部類には入らないほど「地味」ですしねぇ~
ガ●ダムなんかの主人公ロボも終盤には決まって装備強力&カッコよくなりますしねぇww
「地味」なままでは終わらせないぞっ♪みたいな感じで「切り札」を出すんじゃないかなーなんてある意味お決まりのご都合主義を予想しちゃうわけですよ。
しかし、「そんなモン」は隠し持ってなかった。
ご都合よく絶体絶命のピンチで「新しいハローが覚醒」したりなんかもしなかったw
我が愛すべき成田くんは、人知を超えた超人だったけどハロー自体は最後まで地味でした。。
しかし、それがいい!(花の慶次風)
もしハロー(隠された能力)までが派手に覚醒したとしたら・・・私はその時点で成田くんの愛を失くしていたに違いありません。
表の能力は高いけど、裏の能力は実は大したことがないのね・・・というのがいいんですよ。
その事実が表の能力を際立たせて、成田くんを超人にたらしめているのですから。
というわけで主人公のハローに懐疑的なレビューをしている人がいるようですが、これには意味があるわけですよ。
日野旦氏の計算の内-というわけですね。
想像してみてください。
身体的に超人。頭も切れる。イケメン。金も余るほど持っている。。そんな成田くんに主人公補正で究極のハローまで身に付けたとしたら・・・・私なら間違いなく画面上の成田くんにに2,3発グーパンを入れているはずですw
ただ残念なのが、エピローグで学園からひっそりと去ろうとした主人公を朔が引き留めようとするシーン。
まぁ無難なんだけど、何の捻りもないフツーの終わりかたになってしまっている。
ラスト間際までよく仕上がっていたのに、これじゃあ勿体ないと考えるのは私だけでしょうか。
名作・良作に分けるとするなら、ラストまで名作の資格を持っていたのに、最後の最後で締まらない結末にしたため良作扱いになってしまった作品に思えたのはとても残念。
しかしそれでも良作の部類なのは間違いないので、ちょっとシナリオに味のあるギャルゲー(エロゲー)を求めるならこの作品はおススメします。