ショッキングな題材を扱わなくても、面白いシナリオは書ける、といういい見本。
シナリオとシステムの見事なまでの乖離。それでもなおシナリオの高評価で名作になりえてしまう
のだから恐れ入る。
シナリオ
個々のキャラ同士の絡み、関係が非常に巧みに描かれている。主人公との接点についても、
・突然出会う（美里）・義理の妹に（すず）・過去の●●（香奈子）・悪友（翠）
・一方的に顔を知っていた（さやか）・勤めている店の従業員（真子）と、バリエーション豊富。
個人的な感想では、さやか、真子以外のヒロインは、実に上手くまとめていた印象。
特に翠と香奈子が珠玉。生きていれば誰しもぶつかる壁を、実に上手く描けている。
ライターの技術が優れていないとこういう芸当は出来ない。恐れ入った。
あえてネタバレを外したのも、ぜひこの話は実際に体験して欲しいからに他ならない。
シナリオ好きならプレイ必須。
システム
８００×６００にする必要性がどこにあったのか疑問。それで重くなっているのなら、
設計者の完全なミスだろう。機能的な面でもログを読むにはパッチを落とさないと
ダメだったり、とかくディレクション面でのダメさが目立ってしまう。
妙なシミュレーション性にも疑問。なぜイベント総当たり制にしなかったのか、
途中で急な仕様変更が入った為の事なのかわからないが、これではいただけない。
演出、ＢＧＭがなかなかのハイレベルだけに、本当に惜しかった。
再販するつもりがあるのなら、ぜひシステムの見直しをお願いしたいものだ。
（Ｖ．Ｇ．ＮＥＯのＡＤＶシステムは優秀だったので、その移行がベストか）