前作とはまた違った魅力。新生すみっこ第二作として納得の内容。
エロゲジャンルにおける本格的(マニアにとっては設定の粗があるのだろうが)SFとして
好評を博した『はるまで、くるる。』に続く第二作。注目の一作は、様々なプレッシャーが
あっただろう中で、見事に違う形の転化をし、さらに世界を広げた作品となった。
前作のテーマがハーレムなのに対し、今作はロリ。なぜ幼いのか、ということを
生物学的な観点からエンタメ要素を交えて構築し、読み物として面白いものへと
作り上げたライターの力量には脱帽する。また、前作において欠点と言われた
シーン単位での構成の密度の濃さについても、今作では徐々に盛り上がるような
形へと変化し、全体的な魅力を高めることに成功している(と思う)。
とにかく最後まで気を抜けず面白かったのだが、気になった点も少しある。
そこをクリアすれば100点だったのだが、マイナス5点は次作への希望を込みで。
一点目。生物学的なネタから人体の構造へと話題を移し、そこから
バトル要素を含めたのはいい。だが、ノベルゲームというジャンルにおいて
関節技という地味で絵面の良くない要素を持ち込んだのは、いささか
盛り上がりに欠けるのではなかったのか。(個人的にはとても楽しんだ
のだが、人によっては退屈に感じるかもしれない)
二点目。前作のクライマックスへの流れが見事すぎたのもあるのだが、
どうしてもラストのカタルシスが少し弱いように感じたのは残念だった。
だが、徐々に高まっていく感覚というのもまた別の魅力があるので、
あからさまな比較をしない限りはこの点もさして気にはならないだろう。
…と、気になる点を挙げはしたものの、全体的なクオリティも増し、
また新作を買おうと思うぐらいには、今作の出来は素晴らしいものだった。
背景美術、BGM、歌曲も文句なし。そう言えば、オープニングとエンディングは
曲名を掛けているのも憎い演出だなと思った。
余談として、次作はさすがに世界をこれ以上広げられないだろうから、
どのような方法で作品を作ってくるのかとても興味がある。
広げられない以上はとても小さな話にするのか、それとも予想できないような
方法でさらに広げてくるのか。それとも、SFからは離れるのか。
いずれにせよ、すみっこソフト自体はまだまだ次も作るつもりらしいので、
エンディング曲の歌詞を信じて(次の季節へ~)待とうと思う。