過去丸戸作品と比較してもしなくても、その辺は自由じゃないかなと思う。
そういう自分自身が木緒儲なので、木緒の過去作品とどうしても比較するからなんだがw
自分がやってる事を人には禁止は恥ずかしくて出来ないよね、って事です。
今回、正直なところかなり木緒らしくない内容だと思った。
主人公のヘタレ云々を挙げる人がいるが、ただヘタレだけなら
他のゲームにも山ほどいるだろうし、別段珍しい訳じゃない。
むしろ、初期設定の能動的な主人公像というのが、
今までの木緒のやり方からすればかなりかけ離れた設定だったので、
らしくないなあ、と思ったのを記憶している。
実際、序盤こそ職人的な感覚で、書き慣れない主人公を
まだ上手く動かすことに成功しているが、中盤以降はやはりどうにも
難しかったのか、木緒の書く主人公像に近くなってきている。
これを詐欺だ何だと怒る人がいるのもまあ理解出来るが、
自分はやはりこういう所の心情でリアルな感覚があった方が
読んでいて感情移入できるので、むしろ大歓迎な流れだった。
で、内容だが、いつもの木緒ならば、無難なシナリオをいくつか並べて、
そこに一つだけ異質なとんでもない物を混ぜる、という手法を取ることが多い。
(と言ってもらずべりーとナツメグぐらいだが)
今回はそれがなく、平均的に全ヒロインのシナリオレベルを
大体同じぐらいに調整している感じがある。それでも、ゆかり、柚の
2ルートは若干ブレが大きいように感じたが。ここが陸奥のパートなのか、
というのは信者脳か。
会話のテンポの良さはナツメグの時なんかより段違いにいいし、
サブキャラを含めて、キャラ立ては相変わらず上手い。
加えて無難な平均的な仕上がりと、他素材(特に背景の点数・差分の多さは異常)の
充実振りもあって、良い物には仕上がっている、とは思う。
…でも、儲からするとやはりこれに満点は付けられない。
話が最初に戻るが、やはり「らしくない」からだ。
戯画、まるねこライン、という枷にハメられて、もがきながら書いた感じが
どうしても透けて見えてしまう。それである一定の評価を得られたというのは
木緒の技量を示しているとは思うのだが、やはり物足りなさを感じてしまう。
マイナス7点はそういうこと。ナツメグやナギサののような70点中盤の作品に
95とか付ける自分でも、そこはやはりはっきりしておきたい所である。
ただ、物としては良かったとは本当に思う。
先入観無しで買えば普通に楽しめる良作だと思うし、
立ち絵のバリエーションが異常に多い&サブキャラが大勢なので、
言われているイベントCGの少なさは、「意外と」気にならない。
※個別はちょっと寂しかったが
戯画には次はまたあるべき姿に戻っていただいて、
木緒は別のしがらみの無い所で「らしい」シナリオを。
それが儲としてのささやかな願いである。