ヒロインが一人なので彼女を気に入ることができるかどうかだけ重要。
ちなみに僕は無理でした。
プレイ数時間で些細なことでよくキレるから苦手だなぁと思っていましたが、あるルートではっきりと幻滅しました。
主人公とヒロインは幼馴染なので過去にいろいろあるわけですが、物語の鍵になる過去が「ただの八つ当たりにしかみえない」。
いやいや明らかにお前が悪いだろ、どうした。としか思えなくて。
当人の立場になれば、そうとしかできなかったんだろうなとは感じますが、それを考慮しても割り切れない。
堤さんや好佳のルートがあればよかったなとどうしても考えてしまいます。
他の攻略可能ヒロインがいれば諸手を挙げて100点と支持できる出来だと思います。
個人的にそこだけ惜しくて90点です。
本当にヒロイン嫌いだったので、でもやる価値はあったと思います。
実際、音楽・トレーラー・CG・シナリオ・立ち絵・演技・システム、どれをとっても素晴らしい出来です。
特筆すべきはシナリオと声優さんの演技でしょうか。
まずシナリオですが、プロとして恋愛小説でも執筆していたんじゃないかというレベルです。
文章の折々にもゲームなどのシナリオではなく、小説書いている人独特の文章がよくでてきます。
もちろん雰囲気だけうまい文章でなく、心理描写が細かく、視点が切り替わるのも手伝って登場人物たちの心の変化が自然と無理なく伝わってくるのが印象的でした。
物語が恋愛を主軸にしてるので、自分の中でこれはかなり高評価でした。
またご都合主義な展開もほぼなくて、これがあったから主人公はこう感じてこう動いた、と全ての出来事に理由があるのはいいですね。
エロゲではよくあるご都合主義はあまり好きではないので。
次は声優さんの演技です。
シリアスなシーンのセリフで「……」を多用し濁している文が多くあったのですが、声優さんの演技が活きていました。
登場人物の葛藤などがその「……」の演技に詰まっていたと思います。
感情の機微に対してすごく的確に登場人物のその時の感情にそって読まれていました。
声に優れると書いて声優だなと素直に感動しました。
特に扶の叫ぶシーンは名演技すぎて音声が流れ終わるまで待っていたほどです。
総評:普段小説を読む人にとってはおもしろい作品。ただし、ヒロインが好きになれるかで評価は異なる。
ちなみにヒロインは「……あんたみたいな平凡な小娘が、色気づいて十年早いんじゃない」と後輩を罵ってしまった方です。