ただひたすらに美しい。
終末をテーマにした作品で、これ以上のものは後にも先にも現れそうにない。もはや逃れられない死を前にして、崩壊する社会の中で必死に自我を保とうとする様から、生きる可能性を得たことでの苦悩、最終的な選択まで、その表現力はまさに圧倒的。エロゲーで終わりにしないで、何とか一般大衆に触れられる形で世に出てほしいと切に願う。毎日を緩慢に生きるすべての人に読んでもらいたい。
各ヒロインルートも一般的なエロゲーに比べればかなりのレベルだが、このゲームの本質はやはり、ノーマルルートにあるだろう。ノーマルルート→afterの流れは、名作なんてレベルを逸脱している。核ミサイルで解決するのが好きな某俺様国家がよく作る終末映画など、この作品と比べれば茶番劇でしかない。
本当は100点つけたいところなのだが、5点減点しておく。なぜなら万人が万人すっきりと読み終えることが出来るとは思えないからだ。テーマとしては理想的であり、この結末以外はありえないのだが、超展開もご都合主義もまったく無いため登場人物は一人も助からない。この結末に後味の悪い思いをしてしまう人もいるだろう。キャラに感情移入しすぎるとしばらく立ち直れないかもしれん。