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mo26moさんの紙の上の魔法使いの長文感想

ユーザー
mo26mo
ゲーム
紙の上の魔法使い
ブランド
ウグイスカグラ
得点
75
参照数
552

一言コメント

アイデアはすごく良いと思いましたが、エロゲーとしてはあまり楽しめませんでした。ネタバレ全開注意です。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ネタバレ行きます。

オリジナル瑠璃(主人公)とオリジナル妃(実妹)は序盤(第1部)ですでにそれぞれ自殺していて
それ以降から最後まで存在している2人の兄妹はオリジナルのコピーであったという設定は非常に興味深かったです。

そしてオリジナル瑠璃たちが永久に退場して以降は、事実上の真主人公は夜子でした。
極端に言えば、コピー瑠璃とかなたの恋愛などは、夜子という第2部主人公の成長物語における舞台装置に過ぎなかったとさえ思いました。

最終的に黒幕が救われて、妃だけがそこに存在しない事を理不尽にも思いましたが、
オリジナルの瑠璃と妃の物語はとっくの昔に終着しており、この世への未練を捨てて愛し合う兄妹からすれば、
どうぞご勝手に、という感じでしょうか。

総評として、個性的で意欲溢れるシナリオだと思います。
他の方も書いてますが、これが一般向けの小説ならば、惜しみなくもっと高い評価をしていたでしょう。
でもエロゲーとして見れば、オリジナル瑠璃と妃を非業の死に追いやっておきながらの、
まるでハッピーエンドであるかのようなあの結末は(私は生前の主人公と死後の主人公は完全なる別人だと捉えているので)
プレイヤー的にやはり不愉快なものを拭えず、低く評価せざるを得ませんでした。

個人的には同じライターさんの作品なら、前作の「運命予報をお知らせします」の方が素直に楽しめました。